ニュース
第5回 企画書は永遠のβ版? 間違いだらけの企画の進め方:【連載】「バリュープロポジション」から考えるマーケティング戦略論(2/2 ページ)
まず目的と解決すべき課題を仮決めする。そして、叩き台となる1〜2枚の企画書を作る。その叩き台となる企画書を基に、周囲に意見を求め、新しいアイデアを取り込みながら、実行/検証し、改善する。この方法であれば確実に企画を前に進めることができる。
アメリカ人は企画の実行結果を検証する仕組みを持っている
私はアメリカ人と仕事をすることが多い。そしてアメリカ人は、日本人の感覚からすると「こんなに少ない時間で大雑把に立てた企画でいいのか?」と心配になるくらいスピーディにプランを実行に移している。実を言うと、私は当初、日本人の緻密さに比べアメリカ人の詰めの甘さが気になって仕方がなかった。しかしそのうち、「その後」が違うことに気がついた。彼らは当初の企画の実行結果を検証する仕組みを持っているのだ。事実に基づいて実施結果を議論し、軌道修正しながら進化させていく。実際に実行した結果から学んでいるので、結果的に進みが速いし、最終的な品質もよくなる。まさにサーフィンの方法論なのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第1回 衰退する企業と躍進する企業、違いは「事業定義の仕方」にある
「製品志向」で事業を定義する企業は時代の流れに取り残される。米国の鉄道会社のように――。日本アイ・ビー・エム 永井孝尚氏によるマーケティング原論の第1回。 - 第2回 「多機能/高品質なのに低収益」――間違いだらけの顧客中心主義から抜け出す
ターゲット顧客が必要としていなければ、あえてその要素は切り捨てること。そうしなければ、どの会社も同じような商品を作り、多機能/高品質、かつ低収益な商品を数多く生み出し続けることになる。 - 第3回 「価格競争」から「価値競争」へ
「勝者はトップシェア企業1社だけ」「価格に敏感な顧客だけが集まる」「よき顧客は去っていく」――。価格勝負の“泥仕合”がもたらすこれら3つの負の要因を理解すべし。 - 第4回 新製品は売れない。ではどうするか?
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、「キャズム」と呼ばれる普及のための大きな「深い谷」がある。多くの製品がこの谷を越えられずに、消えていく――。谷を飛び越える秘策はあるのだろうか? - 第5回 企画書は永遠のβ版? 間違いだらけの企画の進め方
まず目的と解決すべき課題を仮決めする。そして、叩き台となる1〜2枚の企画書を作る。その叩き台となる企画書を基に、周囲に意見を求め、新しいアイデアを取り込みながら、実行/検証し、改善する。この方法であれば確実に企画を前に進めることができる。 - 第6回 「ベストプラクティス」が「猿真似」に陥る理由が分かると、顧客中心主義の戦略のポイントが分かる
我々のバリュープロポジションは何か? それをいかに実現するのか?――。戦略の本質は対象を見定め、「何をやらないか」を決めてシンプルにし、かつ着実に実行することなのである。