透明な時代に求められる企業への実践的経営指南書:「ITmedia マーケティング」書評
日本アイ・ビー・エムの永井孝尚氏(「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者)がループス・コミュニケーションズ 斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」を読んで示すキーワードは「透明性」。時代が求めるさまざまな意味の透明性に企業はいかにして対応すべきなのか?
本書はソーシャルな時代における実践的な経営指南書である。
著者の斉藤さんはちょうど1年前に本書の前著となる「ソーシャルシフト」を出版。「ソーシャルシフト」では、斉藤さんはさまざまな先進企業事例を取り上げてソーシャルが企業にどのような変革を迫っているかを鮮やかに描き切った。ソーシャルメディアに関する巷にある数多くの書籍とは明確に一線を画した名著であった。
今回の新著「BE ソーシャル!」で斉藤さんはさらに一歩踏み込み、「ソーシャルである」(“BE ソーシャル”)ために企業に求められることを具体的に語り尽くしている。
では「企業がソーシャルである」とは何を意味するのか? 斉藤さんは本書の冒頭で、Facebook CEOであるマーク・ザッカーバーグの言葉を紹介している。
現代社会の透明性は、1人が2つのアイデンティティを持つことを許さない。
本書の一貫したメッセージは、この「透明であること」。それは個人にとどまらない。企業も同様だ。
例えば消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為を行うステマ(ステルス・マーケティング)は企業のブランド毀損という大きなリスクをはらむ。あるいは、消費者に対する不誠実な態度は、たちどころにネットで共有され大きく広まる。米国ドミノピザで、ピザの材料を不衛生に取り扱った様子を撮影したビデオはYouTubeに投稿された途端に100万回閲覧されてしまった。
逆のケースもある。最悪とまで言われた顧客サービスに悩んでいた米国最大のケーブルテレビ会社コムキャストは、顧客サポート部門の幹部自らが率先してTwitter検索でコムキャスト製品のセットアップで悩んでいるユーザーを探し出して能動的に顧客トラブルを解決するサービスを開始。非常に高い顧客満足度がオープンな場で広く拡散され、ブランドイメージが回復していった。
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