ニュース
第4回 新製品は売れない。ではどうするか?:【連載】「バリュープロポジション」から考えるマーケティング戦略論(2/2 ページ)
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、「キャズム」と呼ばれる普及のための大きな「深い谷」がある。多くの製品がこの谷を越えられずに、消えていく――。谷を飛び越える秘策はあるのだろうか?
リスク重視型とリスク歓迎型
先の「錆びないネジ」の事例で、最初になかなか購買に踏み切れなかった顧客は典型的なアーリーマジョリティまたはレイトマジョリティだ。たとえ新技術を採用した製品のメリットを理解しても、それに伴うリスクを重視してしまうので、採用には至らない。言い換えると「リスク重視型」と言ってもいいかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第1回 衰退する企業と躍進する企業、違いは「事業定義の仕方」にある
「製品志向」で事業を定義する企業は時代の流れに取り残される。米国の鉄道会社のように――。日本アイ・ビー・エム 永井孝尚氏によるマーケティング原論の第1回。 - 第2回 「多機能/高品質なのに低収益」――間違いだらけの顧客中心主義から抜け出す
ターゲット顧客が必要としていなければ、あえてその要素は切り捨てること。そうしなければ、どの会社も同じような商品を作り、多機能/高品質、かつ低収益な商品を数多く生み出し続けることになる。 - 第3回 「価格競争」から「価値競争」へ
「勝者はトップシェア企業1社だけ」「価格に敏感な顧客だけが集まる」「よき顧客は去っていく」――。価格勝負の“泥仕合”がもたらすこれら3つの負の要因を理解すべし。 - 第4回 新製品は売れない。ではどうするか?
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、「キャズム」と呼ばれる普及のための大きな「深い谷」がある。多くの製品がこの谷を越えられずに、消えていく――。谷を飛び越える秘策はあるのだろうか? - 第5回 企画書は永遠のβ版? 間違いだらけの企画の進め方
まず目的と解決すべき課題を仮決めする。そして、叩き台となる1〜2枚の企画書を作る。その叩き台となる企画書を基に、周囲に意見を求め、新しいアイデアを取り込みながら、実行/検証し、改善する。この方法であれば確実に企画を前に進めることができる。 - 第6回 「ベストプラクティス」が「猿真似」に陥る理由が分かると、顧客中心主義の戦略のポイントが分かる
我々のバリュープロポジションは何か? それをいかに実現するのか?――。戦略の本質は対象を見定め、「何をやらないか」を決めてシンプルにし、かつ着実に実行することなのである。