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TikTokが「通販」に本気?! “ECで買う”体験はこう変わる知っておきたいソーシャルメディア運用TIPS(2/3 ページ)

2025年6月、TikTokが「通販」にような新サービス「TikTok Shop」を日本でも開始します。

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ECの在り方を覆すだけでなく、マーケティングの常識も変える?

 TikTok Shopの登場によって、既存のEC環境にもいくつかの本質的な変化が訪れようとしています。やはり強調すべきは、EC機能がTikTokというプラットフォームに組み込まれたことです。

 これまで多くの企業では、「SNSで商品を知ってもらい、ECサイトで購入してもらう」という二段構えの導線を前提に設計していました。しかし、TikTok Shopではこの前提が崩れます。動画視聴から商品の理解、購入決定、決済までを全てアプリ内で完結できるようになったことで、プラットフォーム内の話題化にとどまらず、売り上げ創出までを見据えたKPI設計が可能になりました。

 この変化は、企業のマーケティング戦略やチーム体制にも影響を与えると考えられます。例えば、TikTok Shopに最適化した商品動画やLIVE配信に適したクリエイティブの制作、ショップタブやショーケース内でのブランド設計など、これまで分業されてきたSNS運用・EC運営・広告配信の境界線が曖昧(あいまい)になる可能性が高いです。

 広告の設計にも変化が求められます。これまでは、顧客獲得を目的としたコンバージョン広告と、ブランドの認知拡大を狙った広告は、分けて設計されるのが一般的でした。しかしTikTok Shopの登場により、プラットフォーム内で認知から購買までが完結することで、ファネル全体での最適化をより意識した広告戦略が可能になります。

 例えば、LIVEでの商品販売に向けた広告配信は、その瞬間のトラフィックを最大化しつつ、配信を通じて商品理解や認知の獲得にもつながります。こうした「商品が自然に見つかる導線設計」を意識した動画コンテンツや、広告によるブーストを適切に組み合わせることで、点ではなく線で購買体験を設計することがより重要になっていくでしょう。

 また、TikTok Shopでは企業アカウントによる発信だけでなく、クリエイターやユーザーの投稿から自然に商品が広がっていく導線も有効です。KOL(Key Opinion Leader)との協業やUGCを起点とした文脈づくりは、ブランドのストーリーや体験を伝える手段として、アカウント運用とあわせて検討されるケースが増えています。

 このように、TikTok Shopは企業に対して「ECの新しい選択肢」というよりも、「マーケティング全体の再構築」を促すプラットフォームであると捉えるべきかもしれません。実際に活用していくには、企業はどのような準備が必要なのでしょうか。ここからは、導入に向けて実務視点で解説していきます。

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