「コミュニティー」の正解はオフライン? オンライン? トレジャーデータがコロナ禍で学んだこと:トレジャーデータ流ユーザーコミュニティーの作り方【後編】
Treasure Data CDPユーザーが主体となって活動するコミュニティー「Treasure Data Rockstars」の特徴や運営の考え方、コミュニティー内で語られる企業の顧客データ活用の現在地について、コミュニティーマネージャーの視点で紹介します。
前編「CDPの使い方には正解がない だから『コミュニティー』が必要だった」では、トレジャーデータユーザー会が発足した2015年から2024年に「Treasure Data Rockstars」としてコミュニティーを再始動するまでの歩みを紹介しました。
その中でも少し触れましたが、再始動に至るまでにはコミュニティーのリーダーである「Champ」の皆さまと実にさまざまな議論を行ってきました。
トレジャーデータのコミュ二ティーは2015年にユーザー会が始まった当初から、会長をはじめとした何人かのリーダーを中心に運営されてきました。2024年の再始動でも、「自分の経験がユーザーの皆さまの役に立つのなら」と5人の方がChampの役割を引き受けてくれました。
ユーザーコミュニティーのけん引役「Champ」が必要だった理由
Champという役割を設けたのには理由があります。
「Treasure Data CDP」ユーザーの使い方は、大きく「アナリティクス系」「デジタル広告系」「CRM系」「プラットフォーム系」の4つの領域に分けられます。5人のChampは、各領域における日本屈指のスペシャリストです。
ユーザー一人一人の悩みや課題が違えば、フィットするトピックは当然異なります。そこで、ユーザーが自分により近いトピックのグループをフォローできる体制を設け、Champにはそれぞれ専門とするグループをけん引いただくことにしたのです。
ユーザーコミュニティーの中には既存ユーザーもいれば新規ユーザーもいます。利用期間に違いはあっても、トレジャーデータとしてはどちらに対しても価値を提供し続けていく必要があります。1つの大きなユーザーコミュニティーの中で、主要なテーマごとにリーダーであるChampを設けることで、お客さま間でよりきめ細かく、深い情報共有をしてもらえるのではないかと考えました。
毎月のRockstars会の内容などはChampの方が決め、会場などの運営をトレジャーデータが支援しています。Champは皆さま本業がお忙しい中、奉仕の精神でこの役割を引き受けてくれました。Champが「Pay it forward」の精神を体現してくれていることに大きな意味があり、Champがいてこそ、このコミュニティーは成り立っています。トレジャーデータのChampであることが誇りとなり、皆さまに自信や可能性をもたらす存在になっていきたいと強く思います。
オンラインもオフラインも必要
こうして、2024年3月にユーザー限定のキックオフイベント「Treasure Data User Meet Up 2024」を開催し、コミュニティーは本格的に再始動しました。
当日は、多くのお客さまに来場いただきました。米国から来日した3人の社員が最新の製品情報などを紹介した他、懇親会も盛り上がり、会場は大変な熱気に包まれました。
コミュニティーの活動の場はオンラインにも広がっています。4月にコミュニティーサイトがオープンし、数カ月が経った現在、徐々に会員数や投稿が増えてきています。
コンテンツを性質ごとに「ストック型」「フロー型」と分類することがありますが、これになぞらえて言うと、コミュニティーでなされるコミュニケーションは、オンラインがストック型、オンラインがフロー型と整理できます。
オンラインコミュニティーは、場所や時間を選ばずコミュニケーションができます。そこでの会話はナレッジとして蓄積され、いつか必要な情報として他の方が辿り着くことができる長所があります。一方、人と人との距離を縮めるのには時間がかかります。
オフラインコミュニティーは、簡単に距離を縮められる一方、コミュニケーションはその場限りとなりがちです。コロナ禍での完全オンラインシフトから学んだことは、どちらかではなく、両軸であるべきということでした。
トレジャーデータはグローバルにビジネスを展開しているため、世界各地にコミュニティーが存在しています。時間や距離を超えて、お客さまに世界中の知にアクセスしていただくには、オンラインコミュニティーがどうしても必要です。中でも最先端のユースケースが多く存在する北米を中心としたコミュニティー「Level UP」との連携を見据えたときに、オンラインコミュニティーの存在は必須でした。
トレジャーデータでは、2023年からラスベガスで「CDP World」というイベントを開催しており、世界中の知に触れる機会をお客さまに提供し始めました。今後は、オフラインイベントに限らず、必要なときにいつでも世界レベルの情報に触れられるような環境を整え、将来的には、地球規模のオンラインユーザーコミュニティーに進化していきたいと考えています。
コミュニティーにはベンダーだけではできないことができる
トレジャーデータがユーザーコミュニティーを重視する理由は、導入企業の皆さまの目的の実現をサポートするためには、製品ベンダーからの情報提供だけでは十分ではないと考えているからでもあります。
なぜならベンダーは、プロダクトに関しては誰よりも詳しい一方、実際にそれを使ってプロジェクトを推進した経験となると、どうしてもユーザーにはかないません。ユースケースが多岐にわたるCDPではなおのことです。
その点、ユーザーコミュニティーでは、実際にCDP活用に取り組んでいる方々が集っています。個々に目的は違っても、同じ熱量を持つ者同士であればお互いの悩みを理解しやすいという大きなメリットがあります。
CDPユーザーはDX推進という特殊な役割を担うことから、社内では同じ目線で悩みを共有したり共感してくれたりする仲間は多くないかもしれません。しかし、Treasure Data Rockstarsには多くの仲間がいるということを、この活動を通じてユーザーの皆さまに感じていただければうれしいです。
トレジャーデータのユーザーコミュニティーは、顧客データ活用における日本のトッププレイヤーが集う場といっても過言ではありません。あらゆる顧客データ活用に関する課題と解決策が集まる場にできるよう、今後も精一杯取り組んでまいります。
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