運用型広告は2兆3490億円でインターネット広告媒体費の約9割に――「2023年 日本の広告費」の詳細分析:今日のリサーチ
国内電通グループのデジタル領域をけん引する4社が共同で「2023年 日本の広告費」のインターネット広告媒体費に関する詳細分析と2024年の予測分析を実施しました。
国内電通グループのデジタル領域をけん引する4社(CCI、電通、電通デジタル、セプテーニ)は、電通が2024年2月27日に発表した「2023年 日本の広告費」の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別や取引手法別などの切り口で分析し、さらに2024年の予測を加えた「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表しました。
2023年(1〜12月)における日本の総広告費は前年比103%の7兆3167億円、インターネット広告費は3兆3330億円(前年比107.8%)でした(関連記事:「電通『2023年 日本の広告費』 総広告費、インターネット広告費は2年連続で過去最高に」)。
総広告費全体の45.5%を占めるインターネット広告費からインターネット広告制作費および物販系ECプラットフォーム広告費を除いたインターネット広告媒体費は前年比108.3%の2兆6870億円でした。インターネット広告媒体費の広告種別構成比は以下の通りです。
検索連動型広告が初の1兆円超え 成長率ではビデオ広告がトップに
検索連動型広告は前年比109.9%の1兆729億円と、初の1兆円を突破しました。構成比では最も高い39.9%でした。ディスプレイ広告は前年比104.5%の7701億円(構成比28.7%)、ビデオ(動画)広告は前年比115.9%の6860億円(構成比25.5%)でした。
取引手法別では、運用型広告(プログラマティック広告。入札方式で取引される広告)が前年比110.9%の2兆3490億円で、インターネット広告媒体費に占める構成比は87.4%と9割に迫るほど伸びました。予約型広告(純広告やタイアップ広告など非入札方式で取引される広告)は前年比100.0%の2648億円、成果報酬型広告(閲覧したユーザーがクリックなどあらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告)は前年比75.8%と減少しました。
広告種別×取引手法別では、インターネット広告媒体費全体に占める構成比で最も高いのが運用型の検索連動型広告の39.9%、次いで運用型のディスプレイ広告の25.8%、運用型のビデオ広告の21.5%という結果になりました。ビデオ広告は運用型が前年比117.2%、予約型が前年比109.1%と、いずれも伸長しています。
広告種別で最も成長率が高かったビデオ広告の内訳は、インストリーム広告(動画コンテンツの間に挿入される広告)が3837億円(構成比55.9%)、アウトストリーム広告(Web上の広告枠や記事のコンテンツ面などで表示される広告)が3022億円(構成比44.1%)でした。また、ビデオ広告の取引手法別では運用型が84.4%を占めました。
ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告は前年比113.3%の9735億円で、インターネット広告媒体費に占める構成比は36.2%。前年よりも1.5%高くなりました。ソーシャル広告を「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、SNS系が4070億円(構成比41.8%)、動画共有系が3372億円(構成比34.6%)となり、合わせて76.4%を占めました。
2024年のインターネット広告媒体費は前年比108.4%の2兆9124億円に
インターネット広告媒体費は2024年も堅調に拡大し、前年比108.4%の2兆9124億円になる見込みです。また、ビデオ広告はアウトストリーム広告とインストリーム広告いずれも同等の成長が見込まれ、2024年も二桁成長を維持して前年比112.2%の7697億円に達しそうです。
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