Googleが検索広告に生成AIモデル「Gemini」を統合してマーケターが期待できること:Marketing Dive
Googleが予告通り検索広告の会話機能に生成AIを導入した。Geminiの統合でマーケターが期待できるのはどういうところだろうか。
Googleは2024年1月23日(現地時間)、同社の生成AIモデル「Gemini」をGoogle広告の会話機能に展開すると発表し、Marketing Diveに詳細を伝えた。このツールの初期テストでは、広告主はより少ない労力でより質の高い検索キャンペーンを構築し、広告コピーの関連性、質、多様性を測定する指標「広告の効力」のスコアを向上させている。
「良い」または「非常に良い」キャンペーンを公開する可能性が42%高く
会話機能により、広告主はチャットベースのUIでWebサイトのURLからクリエイティブやキーワードを含む関連性の高い広告コンテンツを生成できる。これは、2023年5月に開催されたGoogle Marketing Liveで初めて発表された。β版へのアクセスは現在、米国と英国の広告主に提供されており、近日中に全ての英語圏の広告主へのグローバル展開が開始される。
Googleの声明(外部リンク/英語)の中で英国の広告サービス会社Page1のトム・フォスター氏は「会話型機能は非常に使いやすいと感じた。これにより、広告の効力が『良い』または『非常に良い』である高品質な広告を作成でき、キャンペーンのパフォーマンスがさらに向上した」とコメントししている。
Googleのデータによれば、Google広告の会話機能を使用している中小企業の広告主は、広告の効力が「良い」または「非常に良い」の検索キャンペーンを公開する可能性が42%高く、広告を「悪い」から「非常に良い」に改善した広告主は、コンバージョンが平均12%増加している。
キャンペーンの画像作成に関する広告主の関心を受け、Googleは今後数カ月の間に、会話機能に画像を提案する能力を追加する。この機能は、生成AIおよびランディングページからの画像を使用する。Google広告の生成AIで作成された全ての画像には、目に見えないように「SynthID」(※)の透かしが入れられ、そこにはその画像がテクノロジーで生成されたことを示すメタデータが含まれる。ただし、この技術には透明性に関する懸念が依然として残されている。
※編注:Googleが提供する、AIで生成した画像に電子透かしを入れて識別するツール。
Google広告の会話機能の展開は、広告における生成AIへの関心の高まりを利用した同社の最新の動きだ。同社は2023年11月に、広告商品であるPerformance Max(P-MAX)にAI機能をβ版として米国の全顧客に展開した。Geminiの発表(外部リンク/英語)前のことだが、同社はこれを、これまでで「最も有能で汎用的な[AI]モデル」と表現している(関連記事:「Googleの広告用生成AIはマーケターの仕事をどう変える?」)。
生成AIがGoogleと広告市場に与える影響は大きいと予想される。マーケティングプラットフォームのBrightEdgeが提供したデータによると、Google検索上のクエリの推定84%が生成AIによって後押しされ、最終的には年間400億ドル以上の広告収入に影響を与えるという。ヘルスケア、Eコマース、B2Bテクノロジー業界が、このテクノロジーによって最も影響を受けると推定されている。
「GoogleのAIを搭載したSGE(Search Generative Experience:生成AIによる検索体験)は、この業界がこれまでに経験したことのない大きな技術的変化だ」と、BrightEdgeの創設者兼執行会長であるジム・ユ氏は声明で述べている。「デジタルマーケティングが発明されて以来、オーガニック検索戦略に頼って顧客を獲得し、製品を販売してきたマーケティング業界にとって、この瞬間は地球を揺るがすような変曲点だ。ブランドがどのようにSGEにさらされているかを理解することは、マーケターにとって単なる好奇心の問題ではなく、生き残るための課題なのだ」
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