ファクトチェックとは? そもそもの意味とやり方とその難しさについて解説:SEOタイムズ編集部が初心者向けにわかりやすく解説
メディアを運営する上で、提供する情報の信ぴょう性に対する責任は重大です。SNSやブログなどで公開されている情報が正しいものか確認しないまま拡散すれば、後々大きなトラブルにつながりかねません。今回はファクトチェックの在り方について考えます。
近年は日本でも情報の信ぴょう性や正誤を確認する「ファクトチェック」が重視されていますが、その意味や具体的な方法は押さえているいるでしょうか。
本記事では、ファクトチェックの概要や具体的なやり方、現状の課題となっている5つの要素について詳しく解説します。
ファクトチェックとは?
ファクトチェックは、インターネット上の情報や主張が事実に基づいているかどうか確認することを指します。メディア運営者が自社の提供する情報の信ぴょう性を保つ上で、取材した内容の「裏を取る」こと、すなわち事実確認は基本中の基本と言えます。最近ではインターネットやSNSの発展に伴い一般の人々が情報発信をする機会も増えたことから、情報の真偽の見極めの重要性はより広く浸透してきました。
日本ではファクトチェックの「実施」や「認知拡大」に取り組んでいる団体があります。代表的なのが、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)と日本ファクトチェックセンター(JFC)です。どちらも非営利組織で、ファクトチェックの普及活動やファクトチェックサービスの開発・提供を行っています。ファクトチェックの最新情報を知りたい場合は確認してみましょう。
ファクトチェックの重要性
ファクトチェックの目的は、信頼性のある情報を確保し、デマや虚偽情報の拡散を防ぐことです。拡散した情報が事実でない場合、社会的に悪影響を及ぼすリスクも高まります。
公平性が必要な政治や選挙、健康に関する情報、その他、日常生活に直結する議論などは、特にファクトチェックが必須です。Web担当者として正しい情報を届けるためにも、ファクトチェックに取り組みましょう。
また、情報の送り手として誤った情報の拡散を防止することだけでなく、情報の受け手である個人の立場からも、誤解を防ぐためにファクトチェックは重要です。
ファクトチェックのやり方
ファクトチェックをする際は、ここで紹介する5つの方法を意識して取り組むことをおすすめします。
1. 一次情報と比較して根拠を探す
ファクトチェックの最初のステップは、情報の出所を確認し、信頼性の高い一次情報と比較することです。根拠のない主張や情報は慎重に判断しなければならないので、まずは信頼できる情報源と比較してみてください。「公的機関」や「業界の専門サイト」「論文」などが一次情報として最適です。
2. 事実と意見を区別する
情報を評価する際には、根拠を提示できる「事実」なのか、個人の「意見」なのかを明確に区別することが大切です。個人の意見に過ぎないものを事実や一般論として受け取ってしまうと、誤認につながりかねません。文中に「主張」のような言い回しがあれば、根拠があるかを確認してみるといいかもしれません。
3. 複数のメディアで公開されている情報か確認する
信頼性の高い情報は、複数のメディアで取り上げられることが多いです。同じ情報であっても異なる視点からまとめられている場合は、信頼性が高いと判断していいでしょう。たとえ専門機関の情報であったとしても複数のメディアで確認することで、内容の抜けや言い回しの違いによる誤認を防ぐことができます。
4. 同じ話題の最新情報がないか確認する
ある時点では事実であったとしても、時間の経過とともに真偽が変化することがあります。
「昔の常識が今の非常識になっている」ことは多々あるので、最新情報を確認するくせをつけましょう。情報が古いものであれば最新情報を調査して、主張が現在の状況に合致しているかどうかを確認してみましょう。
5. 曖昧な文章表現をしていないか確認する
ファクトチェックでは、主張や情報が具体的かつ明確な表現をしているかどうかも確認します。表現があいまいということは、根拠が明確ではない、もしくは個人の推測まじりの意見であるケースが多いです。Webサイトを運営している場合は、記事を公開する前に「校閲・校正」を行い記事内容と事実を確認しましょう。校閲・校正について詳しくはこちら(外部リンク)もご覧ください
ファクトチェックに役立つサービス
近年では、ファクトチェックを簡単に行うためのツールも登場しています。代表的な2つを押さえておきましょう。
FactCheck Navi
「FactCheck Navi」(外部リンク)は、FIJが提供しているWebアプリです。各メディア・団体が発表したファクトチェックの結果概要を一覧・検索できるようになっています。
Fact Check Explorer
Fact Check Explorer(外部リンク/英語)は、Googleが提供するファクトチェック記事のデータベースです。主要なメディアのファクトチェック内容をまとめて閲覧できるので、国際的な情報の信頼性を確認するのに役立ちます。
ファクトチェックを難しくしている5つの理由
ファクトチェックの重要性についてはご理解いただけたと思います。しかし、それを実践するのは言うほど簡単ではありません。ファクトチェックを難しくしている背景には以下のような理由があります。
情報の複雑化と拡散の速さ
先述のように、現代では情報が瞬時に広がります。つまり、事実確認をする前に情報がどんどん拡散される可能性があるのです。また「拡散スピードの速さ」「情報の複雑さ」「媒体数の多さ」が相まって、情報の正確性を判断することは難しくなっています。さらに、一度情報が定着すると訂正は困難になるため、「多くの情報源を確認しても正しい情報がわからない」という場合もあるのです。
正確な情報源を探し出せない
多くの情報源が存在する中で、その中から信頼性の高い情報源を見つけることは非常に難しいです。頻繁にインターネットを扱うWeb関係者でも、問題なく情報の取捨選択ができるとは限りません。また、一つの事実に対しても「個人の意見や解釈」が数多く存在するため、これらを客観的に評価することも困難です。これにより、情報をどのように認識するべきかが見えなくなってしまいます。
デジタル技術の発展に伴う情報の偽造
デジタル技術やAIの進歩により、写真や動画の偽造が容易になりました。「画像や参考資料があれば間違いのない事実だろう」と感じてしまいますが、偽造でない可能性がゼロとは限りません。実際にアートの世界では、タブレットなどで仕上げた絵師の作品なのか、AIで作成した作品なのかの見分けがつかなくなる問題も発生しています。
意図的に誤情報を発信して目立たせている
いわゆる「炎上商法」と呼ばれるものですが、過激な内容や討論を生むような発言をすることで、ネット上での注目を集めようとする人がいます。このような情報拡散が生まれてしまっては、どれだけファクトチェックをしたとしても対策が追いつけません。単にファクトチェックの認知度を上げるだけでは、根本的に解決しない問題も多いのです。
情報発信の媒体が常に進化している
SNSが急速に普及し、情報発信・収集をできる媒体が多様化しています。ファクトチェックの対象も増えていることになるので、従来の方法だけでは十分な対応が難しくなります。新たな情報環境に対応するためには、ファクトチェックの手法やプロセスも常に進化させる必要があるのです。
Web環境やSNSが普及・発達したことで情報量が膨大に増え、不特定多数の人が情報発信をしていることを踏まえると、誰もがファクトチェックを本格的に意識して取り組む必要があります。
まだ十分な知名度があるわけではありませんが、ファクトチェックサービスも登場してきているので、誤情報を発信しない・受け取らないようにうまく活用していきましょう。
執筆者紹介
谷川祐一
たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム所属。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(リーダー)としてSEO初心者向けオウンドメディア「SEOタイムズ」とSNS運用代行サービスの立ち上げを行う。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。
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