「ビデオ通話は嫌い」「チャットサポートやめた」「ChatGPTに期待」他、CXを巡る消費者と企業の現実:今日のリサーチ
ナイスジャパンが企業側と消費者側の双方に実施したCX調査の結果です。
クラウドコンタクトセンター(CCaaS)製品「CXone」を提供するNICEの日本法人ナイスジャパンは、企業側と消費者側双方を対象にCX調査を実施し、その結果を発表しました。
2021年、2022年に続き3度目となる今回は、ポストコロナにおける人々の企業への問い合わせ行動や購買行動の変化、AIを活用した顧客接点強化の取り組みについても調査しています。調査で得られた6つの発見について紹介します。
6つの発見
- コロナ禍に伴う行動制限が緩和されて実店舗での問い合わせが増加
- チャットサポートをやめた企業も増えている
- 消費者は自己解決を望んでいる
- 問い合わせで問題が解決しなければ消費者の8割が離反
- ビデオ通話は不人気、利用したいチャネルで消費者と企業にギャップも
- ChatGPTの問い合わせチャネルへの活用に6割の企業が意欲
コロナ禍に伴う行動制限が緩和されて実店舗での問い合わせが増加
まず、消費者に対して問い合わせ行動の増減を聴いた結果、最も多い回答は「変わらない」(81.2%)でした。問い合わせに利用するチャネルについても同様に「変わらない」(70.0%)が最多となっていますが、Webの問い合わせフォームやチャット、店頭での問い合わせも増加しています。特に実店舗での問い合わせは前年比17.2ポイント増えました。コロナによる規制が緩和されてきたことが原因の一つと考えられます。
チャットサポートをやめた企業も増えている
企業の提供チャネルとしては、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)やチャットなどが増えています。ただし、企業のチャット問い合わせサポート導入状況については、「以前導入していたが、やめてしまった」も4.0%から11.2%へと増加しています。
消費者は自己解決を望んでいる
問い合わせのプロセスに関して、9割超の消費者は商品やサービスについての疑問点に対して、「まず自分で調べる」と回答しています。そこで解決しなかった場合の行動パターンの約8割に「問い合わせる」が含まれており、コンタクトセンターの必要性が分かります。
疑問点を自分で調べる人がふだん取る行動の最多は「インターネット検索」(99.7%)で、ほぼ全ての人がこれを選択しています。インターネット検索は最初に取る行動としても圧倒的1位(95.9%)でした。ふだん取る行動では他に「SNS検索」(35.2%)、「ChatGPT」(10.7%)という結果でした。
疑問点を解決するために望ましい方法は「自己解決」が80.0%、若年層に限ると9割を超えています。
チャネル別に解決の有無を聞くと、「電話オペレーター」(90.1%)や「店頭・実店舗」(80.7%)など対面形式のチャネルは解決割合が高く、反対に「AIチャットbot」(23.8%)や「WebサイトのQ&A閲覧」(17.1%)、「チャット」(15.3%)などは解決割合が低いことが分かりました。
問い合わせで問題が解決しなければ消費者の8割が離反
問い合わせで問題が解決しなかった場合に「あきらめる/商品・サービスを利用しなくなる」と回答した人は約半数、「他社製品への乗り換え」がおよそ3割と、解決できなかった人の8割前後が離反してしまう可能性があります。
ビデオ通話は不人気、利用したいチャネルで消費者と企業にギャップも
消費者の利用したい問い合わせチャネルとしては「WebサイトのQ&A閲覧」や「Webサイトの問い合わせフォーム」などが上位になりました。逆に利用したくないチャネルとしては「ビデオ通話」(60.4%)や「AIチャットbot」(46.0%)、「SMS/ショートメール」(44.0%)などが多い結果となりました。AIチャットbotについては利用したい人、したくない人、いずれも一定数いることが分かります。
消費者の利用したい問い合わせチャネルを企業がきちんと用意できているかというと、必ずしもそうではないようです。消費者の約9割が利用したい「WebサイトのQ&A閲覧」や「Webサイトの問い合わせフォーム」を提供する企業は6割にとどまっています。また、「チャット」や「電話IVR」「ビジュアルIVR」なども4割前後の利用意向があるのに対し、提供は不十分であるのが現状です。
ChatGPTの問い合わせチャネルへの活用に6割の企業が意欲
消費者の利用意向が一定数ありつつも十分な成果が出ていないAIチャットbotには、さらなる改善が求められるところです。そこで期待されるのがOpenAIが提供する「ChatGPT」などの生成AI。企業に対して「ChatGPT」を自社サービスで利用したいか聞いたところ、約6割が利用意向を示しました。企業規模別では特に大企業の期待が高いようです。
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