インテージは同社の「SRI(全国小売店パネル調査)」を基に日用消費財の推定販売金額の伸び率を集計し、「2020年、今年売れたものランキング」を公開しています(関連記事「『マスク』『消毒剤』『鬼滅の刃』関連など 2020年の日用消費財における急成長カテゴリー――インテージ調査」)。このランキングを降順に並べ替えれば、自ずと「2020年、今年販売苦戦したランキング」になります。結果は以下の通り。新型コロナウイルスによる消費者の行動や生活様式の変化が分かりやすく表れています。
2020年、最も苦戦したカテゴリー1位は「口紅」。販売金額が前年比44%と半分以下になりました。逆に売れたものランキング1位は「マスク」でしたが、マスクをすることによって口紅をつけないという人も増えたようです。
化粧品では他にも4位「ほほべに」(前年比66%)、5位「ファンデーション」(前年比68%)、6位「化粧下地」(72%)、7位「おしろい」(79%)と10位までに5つがランクイン。苦しんだカテゴリーが多く見られました。2020年4月に発令された緊急事態宣言やそれに伴い増えた在宅勤務によって外出機会が減少し、そもそも化粧自体をすることが減ったことも影響していると見られます。
化粧品の中でも比較的売り上げ減少幅の小さいのが基礎化粧品です。「クレンジング」は前年比92%、「洗顔クリーム」に関しては100%とほぼ現状を維持しました。また「眉目料」(眉や目の周辺に使われるメークアップ化粧品の総称)は全体で88%で、「アイブロウ」や「マスカラ」などは90%でした。口元は隠して目元は盛るのが化粧術のニューノーマルなのでしょうか。
2位の「鎮暈剤(ちんうんざい)」(前年比54%)とは、めまいなどの症状を抑える薬で、酔い止めなどが含まれます。緊急事態宣言とゴールデンウイークが重なった4月後半から5月上旬に関しては前年の2割にも満たない週もありました。旅行に行かなければ乗り物酔いを心配する必要もないようです。
訪日インバウンド需要の大幅減少も強く影響しているとみられます。3位「強心剤」(前年比63%)や8位「鎮咳去痰剤(ちんがいきょたんざい:咳をしずめて痰を出しやすくする薬)」(前年比79%)などは訪日旅行のお土産として人気のカテゴリーです。
市販薬の不振の要因としては、国内外の旅行の減少に加え、より直接的な形でも新型コロナの影響がうかがえます。9位「総合感冒薬」(前年比79%)は、人々の衛生意識が高まった結果そもそも風邪をひく人が少なくなったことの表れと見られます。
「風が吹けば桶屋がもうかる」ということわざもあるように、モノの売れ行きは意外なことで変わるもの。悪いときがあればいいときもあると信じて、前向きにがんばっていきたいものですね。
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