消費財メーカーを悩ませる「店舗」という大問題、SaaSならどう解決できる?:Salesforce「Consumer Goods Cloud」担当者に聞く(1/2 ページ)
小売業が激動する時代の消費財メーカーにSaaSができることは何か。Salesforceの新製品「Consumer Goods Cloud」担当ディレクターのスニール・ラオ氏に聞いた。
消費財メーカーにとって店舗は今なお重要なチャネルだ。ECが伸長しているとはいえほとんどの消費財は依然として売り上げの大部分を店舗に依存している。Nielsenが2018年10月に発表したレポート「Omnichannel Fast Facts on the In-Store and Ecommerce Landscapes」によれば、今日なお消費財の95%は実店舗で販売されている。
B2B2Cモデルにおいて成功を収めるには、選ばれるモノを作ることを大前提とした上で、適切な商品を適切なタイミングで適切な店舗に届けることにも気を配らなければならない。
そうした背景から、Salesforceは同社のCRMを業界別にカスタマイズした製品ラインアップに「Consumer Goods Cloud」を追加した。これを使うことで消費財メーカーの営業担当者は、自らデータとAIを活用して店舗訪問計画と現場でのタスクの効率化を図り、顧客体験をより良くするための店舗施策に注力できるようになるという。
2019年9月に開催された年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2019」のために来日したConsumer Goods Cloudグローバル責任者のスニール・ラオ氏に話を聞いた
マーケティングROI向上の鍵は店舗の最適化にある
――Consumer Goods Cloudが生まれた背景として、今日の消費財メーカーがどのような課題を抱えているのか、あらためて教えてください。
ラオ Salesforceは消費財メーカーの500人を対象に調査を行いました。ここで幾つかのことが明らかになりました。まずはECにおける課題です。Amazon.comや楽天市場に対するお客さまの期待値はかつてなく高まっています。Amazonではホワイトレーベル(PB商品)との競合も発生しています。また、ほとんどの消費財メーカーがD2C(Direct to Consumer)への進出を検討していますが、正しい戦略が分からないことに悩んでいます。
一方で、店舗のアソートメント(品ぞろえ)が最適化できていないという課題も大きなものです。お店に行っても探しているものが見つからないというのは顧客体験として良いものではありません。
――残念な顧客体験はそのまま顧客の離脱につながりますからね。ビジネスの観点からいえば機会損失のリスクでしかない。
ラオ 消費財メーカーは店舗向けのマーケティングに多額の投資をしていますが、十分なROI(投資対効果)が出ていません。計画に沿ったリテールエグゼキューション(小売現場での実行)は急務です。
また、現場の業務を効率化して販管費を改善できれば経営にポジティブかつ大きなインパクトを与えられます。そこで重要になるのがAI(人工知能)の要素です。Consumer Goods CloudはSalesforceのAI技術である「Salesforce Einstein」を活用することで、店舗担当者が訪問する店舗数を増やすことを支援します。現場においても例えば棚の画像を送るだけで店頭在庫の数を数えてくれることなどが可能になります。データ集めや監督業務など、これまで手作業でやっていた仕事の多くを自動できるようになるのです。担当者はそれによって空いた時間をお客さまとの関係性構築や販売に充てられるようになるでしょう。
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