Salesforce共同創業者が語る「Customer 360」と業界別クラウド製品の新潮流:「Salesforce World Tour Tokyo 2019」レポート(1/2 ページ)
「Salesforce World Tour Tokyo 2019」の基調講演の内容を、製品アップデートを軸に紹介する。
Salesforce日本法人のセールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は2019年9月25、26日の2日間、年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2019」を開催した。
1999年にマーク・ベニオフ氏(会長兼CEO)らがサンフランシスコの小さなアパートの一室でCRMをベースにしたクラウドサービスを立ち上げてから20年、Salesforceは「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」という4つのコアバリューを掲げ、顧客と共に成長を続けてきた。
今日、同社がデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する15万社以上の企業は「第4次産業革命」に直面している。セールスフォース代表取締役会長兼社長の小出伸一氏は「第3次産業革命ではPCやインターネットが普及し、デジタル化が加速した。第4次産業革命の変化点とは全てのモノがつながるようになったこと。モノの先には必ずお客さまがいる。企業と顧客が深い関係性を築く時代に入ってきた。顧客接点が増える中で一貫性のある体験が求められている」と述べ、企業が成功するためには期待値を超える最高の顧客体験を提供する必要があると、課題を提起した。
Salesforce Customer 360
より良い顧客体験の提供は正しい顧客理解に始まる。そこで注目されるのが現在パイロット版を提供中の「Salesforce Customer 360」だ。これはSalesforceが2018年に買収したMuleSoftの業務連携ミドルウエアを統合して生まれた機能で、セールス、サービス、マーケティング、ECなどあらゆる部門が1人の顧客を中心に連携するための新たなプラットフォームとなるものといってよいだろう。
Salesforceには、B2Cのマーケティング用途では「Salesforce Marketing Cloud」、EC用途では「Salesforce Commerce Cloud」、カスタマーサービス用途では「Salesforce Service Cloud」と、それぞれ優れた製品が既に存在する。Customer 360の機能はこれらを相互に連携させ、単一の標準的な顧客ビューにまとめることができる。
「テクノロジーは立ち止まっていない。全ては刻々と変わる」と語るのは、Salesforce共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のパーカー・ハリス氏だ。Customer 360はソーシャルメディアやモバイルはもちろん、IoT、音声、ブロックチェーンなど、テクノロジーが進化することを前提にプラットフォーム自体も進化させ続け、企業を支援する。ハリス氏は「これこそが私たちの使命」と語る。既存の製品のみならず新たなテクノロジーを柔軟に取り込めるのは、まさにSaaSならではの強みといえそうだ。
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