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Salesforce.comに学ぶコミュニティーマーケティング、熱狂はいかにして生まれるのかTrailblazer Community担当VPに聞く(1/2 ページ)

自走するユーザーコミュニティーを数多く、世界中で展開するSalesforce.com。顧客との強固な関係作りに欠かせないコミュニティー運営はどうすればうまくいくのか。キーパーソンに聞いた。

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 Salesforce.com(以下、Salesforce)が約10年かけて育ててきたユーザーコミュニティーは全世界に900以上存在する。数もさることながら、特筆すべきは参加者の「熱狂度」だ。ユーザー自らコミュニティーを先導し、積極的に情報共有の場を設けている。

 自走するユーザーコミュニティーが理想とはよくいわれるが、Salesforceの場合は数段上の次元に達している。

 世界有数のユーザーコミュニティーはいかにして生まれ、成長できたのか。Salesforceで初期からユーザーコミュニティー立ち上げに携わり、現在Trailblazer Community担当バイスプレジデントを務めるエリカ・クール氏に聞いた。

始まりもユーザーからの要望だった

――そもそも、Salesforceのユーザーコミュニティーはどのようないきさつで生まれたのでしょうか。

クール氏
エリカ・クール氏

クール氏 ユーザーから、「Salesforceをカスタマイズしたい」と問い合わせをいただいたのが始まりです。その声に応える形で10年前に社内でSalesforceのカスタマイズを学ぶための講座を座学形式でスタートしました。

 立ち上げ当時、私はインストラクターとしてユーザーと対話し、得られたフィードバックを社内メンバーに共有する役割を担っていました。

 当初は少人数クラスでやっていたのですが、続けるうちに、参加できないユーザーにも同様の内容を届けるべきだと感じたのです。そこで、オンラインにも着手しようと。

――オンライン学習サービス「Trailhead」誕生のきっかけですね。

クール氏 そうです。オンライン展開を始めてから、ユーザー数は指数関数的に増えていきました。その中でまた、オフラインの重要性に気付いたのです。対面で話すことのパワーはすごい。

――オフラインから始まり、オンラインで急速に規模を拡大し、再びオフラインにも注力し、オン/オフラインを統合した「Salesforce Trailblazer Community」が生まれたと。

クール氏 おっしゃる通りです。結果、現状オンラインメンバーは200万人、オフライングループは900を超え、それらのグループ活動を支えるリーダーは数千人に上ります。

学び合うコミュニティー

――企業向けITサービスのユーザーコミュニティーとしてはかなりの規模ですよね。ユーザーを中心に回していく仕組みはどのように構築すればいいのでしょう。

クール氏 まず、ユーザーコミュニティーの支援チームは少人数であるべきです。メンバーが中心であり、私たちは彼らの延長線上にある存在です。

 当社からユーザーに対し、何かしらのコンテンツを押し付けることは絶対にしません。あくまでユーザー目線から生まれたものを尊重し、要望があればプログラムやツールを提供しますが、あくまで依頼されればの話です。私たちがユーザーをコントロールすることは絶対にあってはなりません。

――Salesforceのユーザーは業種も事業規模もさまざまです。せっかくコミュニティーを作っても個別に課題が違い過ぎるということないでしょうか。

クール氏 そうでもありません。最初にコミュニティーを作ったとき、参加してくれたのは中小企業だけかと思っていたのですが、大企業も続々参加してくれました。コミュニティーに参加するユーザーの要求に柔軟に応えられるプログラムを用意していたからでしょう。

 さまざまな企業が集まって実際に話をすると、意外と同じ課題を抱えていることに気付きます。皆さんが悩まれているのは、これまでの古い慣習をどうデジタルに置き換えるかということ。その点でいうと、規模が小さい企業の方が先進的に取り組んでいるケースが多く、中小企業の取り組みを大企業が参考にする場合もあるのです。

 Salesforceのプラットフォームを通じて、普段交わらないような企業同士が集まり、お互いの課題を解決し合える環境を構築できていると思います。

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