NVIDIA、ゲーマーから自動運転研究者までそれぞれの顧客体験を「Adobe Sensei」で最適化:B2BもB2Cもいける(1/2 ページ)
NVIDIAは人工知能「Adobe Sensei」で何をしているのか。
NVIDIAはゲームや映像制作のような高度な演算処理に適したGPU(Graphics Processing Unit)を提供している米国の企業だ。“謎のAI半導体メーカー”などと呼ばれたこともあるが実際には世界各国に50カ所の拠点を持ち、GPU市場で圧倒的なグローバルリーダーとして君臨する。
NVIDIAのGPUは自動運転車やロボットの中枢にも使われる。AIに欠かせないチップを作る同社だが、自社のマーケティングに活用するのは、AdobeのAIと機械学習のフレームワークである「Adobe Sensei」だ。
本稿では、2019年7月24日に開催された「Adobe Symposium 2019」に登壇したNVIDIAデジタルマーケティングアナリストのデレック・サン氏と同社の日本法人であるエヌビディア エンタープライズマーケティング本部 シニアマネージャー藤山裕子氏のセッションから、NVIDIAにおけるAdobe Sensei導入の取り組み内容を紹介する。
Adobe Senseiを3つのユースケースで先行導入
現在、NVIDIAが重視する市場は、コンピュータゲーム、映像制作、データセンター、自動車が挙げられる。世界中の10 億人のゲームユーザーおよび2万人の AI 研究者とのエンゲージメント構築を重視したNVIDIAのグローバルマーケティングチームは、顧客体験の向上を目的に、Adobe Senseiで強化した「Adobe Experience Cloud」の新しい機能をβユーザーとして先行的に利用している。
Adobe Senseiは顧客体験の向上に特化した人工知能および機械学習のテクノロジーである。Adobe製品全体に組み込まれており、ユーザーはアルゴリズムで強化されたさまざまな機能を利用できる。NVIDIAは、2016年から自社のデジタルマーケティングエンジンをAdobe Experience Cloudで見直すという変革を始めた。顧客体験のためのAIを自社では開発しないと決めたのは、以下の3つが理由だ。
- 使い慣れたAdobe Experience Cloud製品に統合されたAI
- 継続的に顧客体験を改善するためのCXM(Customer Experience Management)に関するAI機能をすぐに利用可能
- B2B/B2Cを問わず、NVIDIAのビジネスニーズにチューニング可能
AIで強化された新しい機能の利用分野は、キャンペーン効率化のための「アトリビューションAI」、エンゲージメントの高い顧客を特定するための「カスタマーAI」、メールパフォーマンスを最適化するための「ジャーニーAI」であった。
それぞれの施策の詳細は次の通りだ。
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