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Arm Treasure Data eCDPは人とモノ、両方のデータ基盤になるArm傘下になって新たな展開(1/2 ページ)

Arm傘下となったTreasure Dataのカスタマーデータプラットフォームはどう進化しているのか。最新動向について解説する。

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 2019年4月11日、Armは2018年8月に買収したTreasure Dataを中心に進めているデータビジネスに関し、最新動向を説明する記者発表会を開催した。本稿では、来日したArm芳川裕誠氏(IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネジャー/Treasure Data創業者)の説明から、カスタマーデータプラットフォーム「Arm Treasure Data eCDP」の最新動向について、注目すべきポイントを紹介する。

芳川裕誠氏
Armの芳川裕誠氏

3つの強化ポイント

 Armは長くスマートフォンのチップの基盤となるプロセッサなどを開発してきた。しかし、現在では組み込みエンジニアリングに続く次の成長の柱としてIoTの事業を発展させようとしている。

 同社が買収したTreasure Dataは、2011年12月に芳川氏ら3人の日本人が米マウンテンビューで創業したベンチャー企業だ。芳川氏は買収後のArm Treasure Dataの位置付けについて「ArmのIoT事業戦略の中、Treasure Dataはデータ基盤を提供するという役割でArmと一体となってやっていくことになった」と、あらためて語った。Arm Treasure Data部門の現在の従業員数は約200人。引き続き創業の地であるマウンテンビューを主要拠点として事業を継続する。

 2017年7月に提供を開始した「TREASURE CDP(現在のArm Treasure Data eCDP)」は、マーケターが顧客一人一人を理解するため、Webでの行動ログなどあらゆるデータを収集し、統合的に管理するデータプラットフォームである。芳川氏は、同製品に関する3つのアップデートを次のように説明した。

1. ユーザー体験の向上

 2011年にTreasure Dataが初めて提供した製品はデータサイエンティスト向けのクラウド型データ解析基盤として開発された経緯があり、プロダクトのUXはエンジニアに焦点を当てたものであった。その後、デジタルマーケティングというユースケースでの利用に対応し、大企業が顧客をより理解するためのデータ基盤としてTreasure CDPの提供を開始したわけだが、このことで、エンジニア向けのUXとマーケター向けのUXが別々になってしまった。2つのUXを統合するためのプロジェクトを進めてきた結果、今回の発表に至ったと芳川氏は打ち明ける。今回の機能拡張で、共通のUXでどんな役割の人でもデータ解析ができるようになった。

図1
図1:新しくなったArm Treasure Data eCDPの画面(出典:Arm)

2. 連携の強化

 他社のテクノロジーとの連携も積極的に進めている。芳川氏は3つのツールとの連携例を紹介した。

  • Sansan:名刺データをArm Treasure Data eCDPに集約することで、マーケターはそのデータを使った施策展開が可能となる。
  • Tapad:クロスデバイスでのIDマッチングを行うことができ、Arm Treasure Data eCDPとの補完性が高い。最近の消費者は複数のデバイスを持っていることも少なくない。スマートフォンからでもPCからでも同一人物であることを特定できれば、ターゲティングの精度を高めた広告配信やコンテンツの提供が可能になる。
  • Looker:探索型のデータ可視化ツールであり、Arm Treasure Data eCDPに蓄積したデータをLookerからほぼリアルタイムに可視化できる。

 この他の提携例にクラウドストレージの「Box」、メール配信システムの「Mailpublisher」、クラウドDWH(データウェアハウス)の「Snowflake」、CXプラットフォームの「KARTE」との連携もあるという。

3. 欧州データセンターの開設

 2018年5月から域内の個人データ保護を規定するGDPR施行され、欧州ではプライバシー保護の機運が高まっている。国内だけで事業展開を行う企業にとってはそうでもないが欧州圏との取引がある企業にはインパクトが大きいため、グローバル企業のニーズに応えるべく、厳しいセキュリティ基準を定めるドイツにデータセンターを4月から開設した。

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