オンプレミスにあるデータ、それこそが問題だ――既存のMAの課題をSASの製品戦略担当者に聞く:「Hyper Connected Marketing Automation」に挑む(1/2 ページ)
新しい「SAS Customer Intelligence 360」の強みはどこにあるのか。そして新たに掲げた「Hyper Connected Marketing Automation」とは何を意味するのか。SASの製品戦略担当者に聞いた。
SAS Institute(以下、SAS)は、これまでマーケター向けに提供してきた製品群を統合し、新しい「SAS Customer Intelligence 360」として提供開始した(関連記事:「『SAS Customer Intelligence 360』が刷新」)。
その製品戦略においてSASが掲げる「Hyper Connected Marketing Automation(ハイパーコネクテッド・マーケティングオートメーション)」とは何か。SASで製品担当ディレクターを務めるミシェル・イガーズ氏に話を聞いた。
クラウド型マーケティングオートメーションの限界
SASはAI(人工知能)を軸にデータマネジメント、ビジュアライゼーション、マーケティング、リスクマネジメント、不正検知&セキュリティという5つのソリューションを提供している。その中でマーケティングソリューションを担うのが6つのモジュールから成る「SAS Customer Intelligence」であり、新しいSAS Customer Intelligence 360はその中でも基本となる製品群だ(下図)。
「新たなSAS Customer Intelligence 360の特徴は3つあります。1つ目が、ハイブリッドクラウドすなわちクラウド環境だけでなくオンプレミス環境にあるビッグデータを扱うことができること。2つ目が、社内だけでなく外部パートナーのデータにもオープンに接続できること。3つ目が、統合された管理画面で全ての機能を使ってPDCAサイクルが回せることです」とイガーズ氏は語る。
マーケティングオートメーション(MA)といえば、ほとんどの人はクラウド型のツールを連想すると思う。しかし、実際に使うときには、オンプレミスにあるデータとの連携が課題になることが少なくない。「SAS Marketing Automation」は数少ないオンプレミス型のMAツールであり、オンプレミスの各種データベースへの透過的アクセスが可能だ。これを、SaaSで提供されるMAである「SAS Customer Intelligence 360」に統合したところが、今回のリリースの目玉となる。
SASのユーザーには金融や通信キャリア、小売などの大企業が多い。これらの企業では顧客の属性情報や取引明細、収益、商品のデータ、営業担当者の日報、営業店やコールセンターでの接触ログといったさまざまなデータを持っている。しかし、その全てをクラウドで保管しているケースは、そう多くない。特に金融機関でなどでは取り扱いに注意しなければならないデータも増えてくるので、クラウド移行にはより慎重な傾向がある。
データセキュリティポリシーもさることながら、データを全てクラウドに移すとなれば転送のための時間もかかる。パフォーマンスがボトルネックとなり、既存のMAでは真のリアルタイム処理は難しいというのがSASの考えだ。
また、全てのデータをMAで利用するとなれば、そのためのデータ加工が必要になる。オンプレミスにあるデータの扱いは、ROI(投資対効果)の観点からも悩ましい問題なのだ。
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