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「サイボウズらしさ」を貫くマーケティングとは?――サイボウズ鈴木 亜希子氏に聞くB2Bマーケティング、今この人に聞きたい(1/2 ページ)

30年にわたりIT系B2B企業のマーケティング支援に携わってきたエキスパートが、マーケティング中心の経営を実践するB2B企業を訪ね、そのチャレンジについて聞く。

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 サイボウズといえば、製品の優秀さもさることながら、マーケティング力にも定評がある。オウンドメディア「サイボウズ式」はネットメディアとしても人気が高く、各種ITイベントや展示会に設営したブースでも、思わず立ち寄りたくなる明るいムードが漂う。そんな人を引き付けるマーケティング力はどこにあるのか。サイボウズ ビジネスマーケティング本部 プロモーションディレクターの鈴木 亜希子氏を訪ねた。

 鈴木氏と筆者
サイボウズの鈴木 亜希子氏(左)と筆者(右)

さまざまな人を巻き込むサイボウズのマーケター

 「うちもサイボウズみたいなマーケティングをやりたいんです」と相談されることがある。競合他社から見てもサイボウズは「明るくて楽しそう」「パートナー企業とも仲が良く、最先端のテクノロジーがある」と思わせる力があるようだ。まして、これからクラウドグループウェアを導入しようという事業会社であれば「この会社の製品を使ってみよう」というきっかけになるかもしれない。

 そんなサイボウズで、イベント・展示会を通じた販促プロモーションを手掛けているのが鈴木氏だ。鈴木氏の卓越したスキルは、その「巻き込み力」にある。数年前のプロジェクトにおける、あるエピソードを紹介しよう。

 私たちビッグビートは、イベントで提供するオリジナルコーヒー「サイボウズ ブレンド」を開発し、鈴木氏に提案した。試作で出来上がったのは3種類。鈴木氏は「実際に社員に試飲してもらって決めよう」と、急きょ社内での試飲会を準備した。社内を行き交ういろいろな人ににこやかに声をかけ、試飲に誘う鈴木氏。社員や来客も面白がって協力してくれた。

 鈴木氏が統括するイベントや展示会は全てがこのような感じで、パートナー企業が一丸となって進んでいく。こういう雰囲気が、実際のイベントにも反映されるのだ。その巻き込み力の源泉は何かを聞くと、「私の力ではなく、みなさんが助けてくれるんですよ」と、鈴木氏はひょうひょうと語る。

 「強いていえば、何かあったときに柔軟に対応できるように、先々のことをあまりしっかりと決め過ぎないことですね。突然の変更や新しいアイデアが出たとき、『それはできない』と切り捨てるのではなく、柔軟に受け止められるようにしたい。それと、日々感謝を忘れないことです」(鈴木氏)

マーケティング未経験からの模索で見つけた「サイボウズらしさ」

 鈴木氏はもともと新卒でサイボウズ製品の販売代理店に入社し、サイボウズのチラシなどを制作していた。サイボウズ関連の仕事は好きだったが、異動で別部署に移ることになったため、「サイボウズへ転職しよう」と考え、当時担当営業だった野水克也氏(現サイボウズ社長室 フェロー)に連絡したという。

 縁あってサイボウズでマーケティングやプロモーションを担当することになったが、入社のいきさつからも分かる通り、マーケティングやプロモーションの仕事そのものには、もともとそれほどこだわりがあったわけではない。全てが未経験であったころは、展示会でさまざまな企業のブースを見ては、良さそうなところを部分的に取り入れていた。しかし、他社と同じことをしていてもあまり成果が出ない。そこで、代わりにこだわることにしたのが「サイボウズらしさ」だ。

 サイボウズは、比較的おっとりした社風で営業もあまりガツガツしていない。だから呼び込み型ではなく、来場者が自ら立ち寄りたくなる雰囲気のあるブース作りを目指した。

 「会社に戻ったお客さまに『サイボウズ、勢いがあったよ』と周囲にいってもらえるようにしたい。そこに特化しました」(鈴木氏)

鈴木氏
鈴木氏

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