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広告からCRMまで、一連のコミュニケーションを自動化するロジカルに解き明かすEC・通販の成功法則(2/2 ページ)

この連載もいよいよ最終回。「広告」「引き上げCRM」「継続CRM」と続くリピートビジネスのコミュニケーションを自動化することが容易になってきた最近の状況変化について解説します。

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オートメーション導入の「2つの壁」を乗り越える

 ただ、MAはそのポテンシャルに比して、現状の波及度は高くありません。MAの導入を阻む理由としては2つの壁が挙げられます。1つがコストの壁、もう1つが人材の壁です。

 とはいえ1つ目のコストの壁については、近年グッと下がってきました。安価なツールが複数登場しており、無料のものさえ存在します。自社で活用する範囲を見極めて取捨選択ができれば、非常にリーズナブルにMAを利用できるようになっています。過去に導入を検討したものの費用面で諦めたということがあれば、再度検討してみるといいかと思います。

 また、API連携によるハブサービスの活用も見逃せません。従来のように、特定のプラットフォームの中だけにとどまらず、MAをはじめとしたあらゆるサービスをモジュールのようにコネクトして、連続した1つのソリューションとして組み上げることが可能となります。以前にも紹介した「Zapier」というサービスでは、年間わずか1000ドルほどで、GoogleやFacebook、Twitter、Slack、Wechatなどの有名どころをはじめ、1000を超えるさまざまなサービスとAPIで連携できます。こうしたハブサービスを使うことで、1つのプラットフォームの制約に縛られず、その時々の魅力的かつリーズナブルなサービスを連携させて、さまざまな応用が可能になります。


開封確認によるMAのトリガー起動、コミュニケーションフローの出し分けなど、APIを用いてさまざまなことが可能になる《クリックで拡大》

 例えば、自由度の高いWebアクセス解析環境も格安で構築可能となります。WebサイトやメールなどのアクションログをGoogleフォームに蓄積しておき、そのデータをMA上の顧客属性と合成し、仮想ログデータに加工してMicrosoft Excelのピボットテーブルを用いてクロス集計を行えば、あらゆる視点での分析が自由度高く容易に可能となります。そうした分析はアナリティクス系サービスでも可能ではありますが、指定の書式に沿って設定を行い、かつ都度試算する必要があります。その点、ピボットテーブルを使えば、項目を縦横軸に自由に振り分けて、望む項目別にフィルタリングや範囲設定が可能になります。少しでもデータが触れる人であれば、この自由度の高さを強く実感し、その恩恵を享受できることでしょう。


各サービス連携によるアクセス解析《クリックで拡大》

 このように、英語圏では低コストなサービスで実用レベルの一連のオートメーションが可能になっています。つまり、これらのソリューションが限られた人達のものではなくなりつつあるということです。多くの人が気軽に触れるようになり、今後、この領域を理解する人材も増えてくると思います。人材の壁についても徐々に解消されていくのではないでしょうか。

 環境は激変しています。これまでのようにIT部門に情報収集や製品選定などを委ねるだけでなく、マーケターこそがオートメーション活用に対して意志を持ってIT部門と連携を取り、ビジネス成長のけん引役になることが、より強く望まれるようになっています。マーケターにとって、実に面白い時代になってきたと思います。

寄稿者紹介

川部篤史
プランクトンR執行役員通販支援事業部長。製品企画をキャリアのスタートとして、千趣会、大塚製薬、JIMOSで約25年、自社通販・ECの事業構築ならびに製品マーケティング戦略全般に携わる。事業全体を俯瞰(ふかん)しつつ、豊富な知見に裏打ちされた、製品マーケティング戦略立案と実行を得意とする。近年においては、AIやオートメーション活用、中国越境EC進出でも専門家として活動しており、数多くの執筆・セミナー登壇を請け負う。ビジネスブレークスルー大学大学院経営管理修士(MBA)/一般社団法人通販エキスパート協会認定スペシャリスト。


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