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Facebook日本進出から10年、個人情報不正利用問題が広告事業に与える影響は?今日は何の日?(1/2 ページ)

Facebook日本進出10周年に当たり、フェイスブックジャパンは記者向けの説明会を開催。気になる個人情報不正利用問題についても語られた。

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 2018年5月19日は、Facebook日本法人であるフェイスブックジャパンにとっては特別な日だ。ITmedia NEWSの記事「『Facebook』日本語版公開 “実名交流”でmixi追撃」によればちょうど10年前のこの日、同社のSNS「Facebook」は日本語版サービスを提供開始。このとき、創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグ氏が来日している。

 記念日の1日前となる2018年5月18日、フェイスブックジャパンは記者向けの説明会を開催した。冒頭でフェイスブックジャパン代表取締役の長谷川 晋氏が、現在同社を直撃している個人情報不正利用問題に関するおわびと説明(関連記事:ITmedia ビジネスオンライン「Facebook個人情報不正利用問題、日本法人代表が謝罪『安心安全が最優先』」)を行った後、Facebookでグロース担当バイスプレジデントを務めるハヴィエ・オリヴァン氏が、10周年の歩みと今後の展望について語り、続いて長谷川氏が日本における今後の注力分野について語った。本稿ではオリヴァン氏のパート以降、同社の広告ビジネスに関連した部分を中心にレポートする。


知日派幹部が語る日本とFacebookの10年

 オリヴァン氏は2007年にFacebookに入社。10年前にもザッカーバーグ氏ともに来日している。2001年から1年間、NTT系列会社のモバイルエンジニアとして日本に在住経験もある同氏は「日本は今でもテクノロジーのリーダーであり、Facebookにとって重要な市場でもある」と述べる。現在、日本国内におけるのFacebookの月間利用者数は約2800万。Instagramのアカウント数も2000万を突破している。

ハヴィエ・オリヴァン氏
ハヴィエ・オリヴァン氏

 オリヴァン氏のFacebook入社当初の最重要課題は多言語展開で、翻訳アプリを開発し、各国のコミュニティーの力で翻訳をするというアプローチを採用した。「LIKE」を「いいね!」と訳したのも、コミュニティーからの発案であったという。

 同社ではFacebookを日本市場に合ったサービスとするため、日本にエンジニアを常駐させ、これまでにさまざまなローカライズを実現してきた。プロフィールに血液型を入れたり、就職活動を支援するコネクションサーチを実装したり、日本ならではのユニークな機能も開発した。

 その中には、現在世界中で実装されているものもある。被災地にいる友達同士が安否を報告し合える「災害時情報センター」は2011年の東日本大震災の際、福岡に避難していたエンジニアチームが3週間で作り上げた機能をベースとしている。「いいね!」に感情表現を取り入れた「リアクション」はもちろん、日本の絵文字文化の影響を受けたものだ。

 この10年でミッションも進化した。従来は「世界をオープンにし、つなぐ」を掲げていたが、2017年にこれを「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」と改めた。

 「今回来日してさまざまなコミュニティー運営者にお会いし、感銘した。その中で安全性やプライバシーが非常に重視されているということをあらためて認識した。人と人をより強固につなげる上で、それらが重要であるとわれわれも考えている」とオリヴァン氏は語る。

 最後にオリヴァン氏は、「Instagram」や「Messenger」「WhatsApp」などを含む「ファミリーサービス」を含むプラットフォームの全体像について説明した。

 Facebookのプラットフォームは現在、「Growth」「Integrity」「Social Good」「Ads+Business Platform」の4つの層で構成される。Growthはコミュニティーの活性化を担う分野。整合性を意味するIntegrityはプラットフォームの安全な運営を担い、Social Goodは社会的によい影響を与えるサービスを提供する。そして、Ads+Business Platformは同社の主要な収益源である広告ビジネスを担う。

 オリヴァン氏は「日本は広告に関しても世界有数の市場。Instagramのユーザー増も著しい。Facebookはこれからの10年もファミリーアプリを拡大していく。世界にも日本にもより良いサービスを届けていきたい」と結んだ。

官民共同のインスタ映えキャンペーンで訪日インバウンド活性化

 続いて、長谷川氏が日本の現状とこれからの注力分野について語った。フェイスブックジャパンでは「可能性をつなぎ、かがやく日本へ」という独自の活動テーマを掲げ、「経済」「人」「社会」の3つの視点で、コミュニティーとテクノロジーを活用して日本社会の課題解決に貢献したいという。

長谷川 晋氏
長谷川 晋氏

 まず経済に関しては、日本企業の新たなビジネスモデル創造を支援し、地方経済の活性化、日本から海外へのビジネス進出支援にも取り組んでいるという。日本の魅力を世界に発信する事例の1つとして長谷川氏が紹介したのが、日本政府観光局(JNTO)と共同で実施したInstagramによるハッシュタグキャンペーン「#unknownjapan」だ。訪日観光客に、知られざる日本の魅力を、このハッシュタグ付きで投稿してもらおうという参加型企画で、47都道府県全てから12万件以上の投稿が集まった。

 Instagramには2017年3月から1年間で500万人以上の訪日観光客が2900万以上の写真や動画をシェアしている。いわゆるインバウンド需要が注目される中、「Instagramは訪日外国人観光客にとって、日本での体験を共有し、情報を発信するためのパワーのあるプラットフォームとなりつつある」と長谷川氏は語る。

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