Facebookで”刺さる”動画広告の条件とは? 中の人が解説:広告クリエイティブと効果測定(1/2 ページ)
Facebookの人ベースの広告で良い結果を生むため、広告表現(クリエイティブ)はいかにあるべきか。そして効果測定をどうするか。専門チームの責任者が語った。
フェイスブック ジャパンは2017年11月15日、広告クリエイティブと効果測定に関する記者説明会を開催した。
アカウントでログインして利用するFacebookは、人ベースの豊富なデータを所有している。顧客接点がデジタル、それもモバイル中心にシフトしている現在、「効果を出せるクリエイティブ(制作物)とはどういうものか」そして「キャンペーンの効果を正しく測定するためにはどういう手法があるのか」は、広告主企業にとっては重要な関心事だ。実際、フェイスブック ジャパンでも最も多く問い合わせを受けるという上記の2点について、それぞれの専門チームの担当者が、Facebookの考え方を語った。
電車内での視聴でも伝わる動画広告に、4つの最適化メソッド
Facebookにおいて広告主の効果的な広告表現をサポートしている専任チームが「クリエイティブショップ」だ。日本でこの部門を率いる冨川 淳氏は、テレビCMをモバイルに最適化し、有効活用するための手法について語った。
テレビCMを出稿している企業は、素材となるコンテンツは既に持っている。しかし、それをそのままモバイル広告に転用しても効果がないと冨川氏は指摘する。スマートフォンでFacebookのニュースフィードを眺めている人は、約3秒でそのコンテンツを見るかどうかを判断する。動画が最後まで見られることは現実的には少ない。一方で、テレビCMの15秒のフォーマットにおいては、最後にブランドメッセージを出すことが多い。これでは最も伝えたいことが伝わらない。また、小さなモバイル画面で見ることを想定して文字を大きくする必要もある。モバイル視聴を前提としたFacebookでは「電車内での視聴でも伝わるシンプルな動画広告」(冨川氏)が望ましい。
そこで、クリエイティブショップでは「PockeTVC(ポケットテレビCM)」というプログラムにおいて、既存のコンテンツ資産をモバイルに転用するための、以下に挙げる4つの最適化メソッドを説明している。
- 素早く視聴者のアテンションを引く
- サウンドオフでも明確に伝える
- フレームを工夫し、焦点を絞る
- 素材で遊ぶ
モバイルではメインメッセージをなるべく最初に持ってきて、尺(長さ)もできれば6秒以内に収めるのが望ましい。
また、多くの人はスマートフォンでFacebookにアクセスする際、イヤフォンを装着していないので、サウンドオフの環境ではキャプションのタイミングや文字の位置、大きさなどにも気を配る必要がある。デザインをシンプルにするのはもちろん、メッセージ自体もシンプルに伝わりやすくしなければいけない。
テレビ用の16:9のアスペクト比のフレームも、Facebookのニュースフィードにサイズを合わせる必要がある。縦長フォーマットが最もインパクトがあるが、横長で作られたクリエイティブから転用が難しい場合でも、せめて1対1にはしたい。
モバイル動画でできることには限りがあるが、制約を逆手にとって素材で遊ぶという発想が重要だ。ある自動車の広告では、画面に表示されるコピーを突き破って車が飛び出してくるという演出を施した。こうしたシンプルな仕掛けが、スマートフォンの画面では強いインパクトになる。この他にも、既存の素材を編集し直したり、カルーセル(横スクロールのスライドショー)化したりするなど、面白く見せる方法はいくらでもあると冨川氏は語る。
Facebookでは、パーソナルデータを活用してペルソナを作成し、それぞれに合わせたクリエイティブを開発していくという手法を推奨している。「移動品質」を訴求する日本航空の事例では、行動分析から将来的にロイヤルユーザーとなり得る層として「カルチャーに触れたがる好奇心旺盛な若い女性」といったペルソナを想定し、『ハワイで習ったフラダンスの衣装を持ち帰る』という内容のクリエイティブを作り出した。その結果、JALに対する好感度が11ポイント向上するなどの効果が得られたという。
冨川氏は、「データを細かく分析すると、例えば『経済のことが好きだがテック系おもちゃで遊ぶのも好き』といったギャップが見えてくる。そこからクライアントとの価値観が合う箇所を探し、それをベースにアイデアを開発する。良いクリエイティブを作るためにデータを研究し続けている」と述べた。
Instagramに関しては、Facebookクリエイティブショップ クリエイティブストラテジストの栗山修伍氏が説明した。Instagramは今日、おしゃれで洗練されたプロの作品ではなく日常に近い投稿が人気を博す「FUN & PLAY」のプラットフォームに進化していると栗山氏は述べる。そうした中で広告もまた「FUN & PLAY」を意識し、スマホでセルフィ―(自撮り)を投稿するようなオーガニックなテイストで、既存の素材を用いて手軽に作ったクリエイティブがなじむようになっていることが強調された(関連記事:「『インスタ映え』を超えて広がるInstagram広告のこれから」)。
ハイセンスな素材や特殊な編集は必要ではなく、「ブランド」「ストーリー」「プロダクト」「ベネフィット」のどれを訴求したいのかを明確し、シンプルに表現していくことが、むしろ現在のトレンドに合っているというわけだ。
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