訪日外国人観光客は結局、何を求めて日本にやって来るのか:【連載】浅草ソーシャルおじさんが教える、小さな組織のメディア運営 最終回(1/2 ページ)
「見にきてもらう」から「参加してもらう」へ。訪日外国人と浅草の関係は少しずつ変わりつつあるようです。
浅草観光連盟の公式サイトである「365ASAKUSA」のアクセス履歴を見ると、年に3回アクセスが集中する時期があることが分かります。それは5月中旬、7月上旬、8月中旬です。
アクセスが集中しているページを確認すると、5月が浅草神社例大祭(三社祭)、7月が下町七夕まつりとほおずき市、8月が隅田川とうろう流しの時期と重なっていました。中でも一番アクセスの多かったのが、とうろう流しです。
外国からのアクセスが多い「隅田川とうろう流し」
とうろう流しには、近年では海外の方も数多く参加しています。365ASAKUSAのWebページやFacebook、Twitterなどで開催を知り、当日受付分のとうろうを求めて大勢の外国人観光客が列を成しているのです。
流灯会(りゅうとうえ)とも呼ばれるとうろう流しは、先祖の霊を供養する目的で、故人の名前をとうろうに書いて川に流すものです。浅草ではもともと太平洋戦争後の1946年、戦災で亡くなった人の供養を目的に始められました。しかし、1966年に高潮防止のため両岸に防潮堤が作られることになり、川縁まで降りることが不可能になって、流灯会は前年の1965年夏を最後に終了しました。
浅草観光連盟設立50周年を記念して発行された史誌『浅草繁栄の道 浅草観光連盟半世紀の軌跡』(浅草観光連盟、1997)には「川面を流れる灯篭は、何本もの赤い帯となってまことに美しい光景であり。ときには花火もあげ、両岸には数万の慣習も集まって盛況であった」と記されており、流灯会がかつて夏の重要な名物行事であったことがしのばれます。消防実演や消防庁の吹奏演奏も行われ、当時から外国人観光客も多数訪れており、ニュースとして海外に報じられることもあったようです。
浅草観光連盟は、隅田川とのふれあいを高める意味から、2005年に隅田川親水テラスの連続化およびスロープ整備がなされたことをきっかけに、この行事を復活させました。
2011年の東日本大震災以降は、復興を願う言葉を書いたとうろうを流す人が増えました。また最近では、七夕の短冊のように自分たちの願いごとを書く若者も多くいます。
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