Webサイトのスピード改善はUI/UX改善以上に効果あり――ゴルフダイジェスト・オンライン担当者が断言:【連載】売り上げにつながるスピード改善 第1回
Webサイトの表示速度改善は離脱を減らしコンバージョンを増やすために取り組むべき重要課題。有力Webサイトの第一線でスピード改善に携わる人の声に耳を傾けてみよう。
2017年はEC事業者の間で「スピード」への関心が高まった1年だったといえるだろう。
日本の代表的なポータルサイトであるYahoo! JAPANにおいて、スマートフォン(スマホ)経由のトラフィックがPC経由のそれを上回ったのは2015年5月のことだ。多くのB2Cの事業会社ではこの頃からスマホ経由のアクセスが急増し、化粧品メーカーのWebサイトや子育てメディアでは、モバイルトラフィックが軒並み7〜9割を占めるようになっている。
一方で、スマホからのアクセスが当たり前になった今日でも、コンバージョンレートの低迷を課題とする企業は多い。その理由の一端は、ページの表示スピードにある。表示に時間がかかることが離脱につながり、機会損失を生じているのだ。
しかしながら、これまでどちらかというと企業側の動きは鈍かった。ページの表示速度が売り上げに直結するはずの大手ECサイトであっても、ページの表示まで10秒以上もかかるケースはたくさん存在している。中には20〜30秒かかってしまうサイトもある。
スマホのWeb高速化に対する啓発は、Googleを中心に2013年から行われてきた。Googleは「3秒以内に表示させないと54%が離脱する」というデータを明らかにし、表示スピードを測るスピードテスターを提供するなどしてきた。また、検索結果の順位を決めるアルゴリズムにページの表示速度の要素を加味することを表明し、あの手この手で高速化を後押ししてきた。そして、先進的な企業を中心に、モバイルWebの高速化がようやく本格化しつつある。
今回、表示スピードに定評のあるポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)」でシニアエンジニアを務める種村和豊氏に、スピード改善の価値と手段について聞いた。
わずか1秒のスピード改善でCVRが7.5%もアップ
GDOはゴルフ情報を発信するポータルサイトだ。ゴルフ情報を発信するメディアを核に、ゴルフ場予約やゴルフ用品販売を主な収益源としている。このサイト全体のパフォーマンスを担当するのが種村氏だ。
2015年、GDOのサイトでは、スマホおよびPCサイトのスピード改善施策を実施し、大きな成果を生んだ。予約ページの表示速度をわずか1秒上げただけで、CVR(コンバージョン率)が7.5%もアップしたのだ。一般的にはUI/UXを改善したとしても、CVR7.5%アップという数字は簡単には出てこない。しかも計測時期は雨が多かった。ゴルフ予約は天候に左右される。来訪者数は比較した年度に比べて10%減っていた。にもかかわらず、CVRは上がったというのだ。またそれに伴い離脱率も4%ほど減ったという。
「この数字のインパクトが分かりますか」と種村氏は問い掛ける。
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