SalesTechが今求められる5つの理由:【連載】SalesTechの時代 第1回(1/2 ページ)
AdTechからMarTech、そしてSalesTechへ。テクノロジーが進化させる営業活動の現在について解説します。
皆さんは「SalesTech」という言葉をご存じでしょうか。「AdTech(広告テクノロジー)」や「MarTech(マーケティングテクノロジー)」については、ITmedia マーケティング読者であればよく耳にするところかと思います。SalesTechもまた、それら2つの概念と深い関係があります。
SalesTechとは「最先端のIT関連技術を使って全ての営業活動を効率化する手法」です。そもそも営業活動とは何かも人それぞれの捉え方があると思いますが、ここでは「継続的に利益が出るようにモノやサービスを売るための全ての活動」と定義します。
具体的には次回あらためて説明しますが、セールスの進捗(しんちょく)状況を営業部門全体で一元管理するSFA/CRMをはじめ、商談の設定から提案、契約に至るまで、営業にまつわる業務を支援するとためのさまざまなIT製品が生まれています。
このSalesTechがなぜ今、注目されているのでしょうか。その理由は5つあります。順に説明していきましょう。
1. 人的リソースの減少
既知の事実かもしれませんが、日本国内における生産年齢人口(15〜64歳の人口)は減り続けていくと予測されています。国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2013)」によると、2010年時点で8000万人以上だった生産年齢人口は、2030年に6700万人ほどになり、生産年齢人口率は63.8%(2010年)から58.1%(2030年)まで下がると予測されています。つまり、日本全体の人口の減少を大幅に上回るペースで生産年齢人口が大幅に減ることになります。
そんな問題を間近に控えた今、「働き方改革」の流行も相まって、業務の効率化を進めている会社も多いと思います。問題解決のため最先端のIT関連技術を活用した動きも盛んです。HRTech(Human Resource Technology)で採用から育成、評価、配置までの人事関連業務を効率化する手法が模索されているように、“業務”に特化したテクノロジーの活用事例もよく耳にするようになってきました。「SalesTech」もこの流れの1つといえます。
2. 「営業/販売」は最も非効率な部署
営業部門で働くビジネスパーソンが「最も非効率だ」と考える部署は、皮肉にも自身が所属している「営業/販売部門」だというアンケート結果があります(関連記事:イノベーション「法人営業に関するアンケート」)。先述したように業務の効率化を進める必要性に迫られている昨今、営業部門では、無作為に行われる「新規顧客への飛び込み営業」やリストの上から順に電話をしていく「コールドコール」など、非効率な活動がまだまだ多いのが現実のようです。
一方で、自社の営業力低下を感じている企業が増えています。営業力低下を感じていると回答した企業が全体の約70%近くを占めており(関連記事:WEIC「自社の新規開拓営業責任者の意識・実態調査」)、今までの営業活動を抜本的に見直す必要があるのです。
3. 購買側の変化
ここ数年で、B2Bの購買プロセスは大きく変わりました。かつては何かを購買する際には営業担当者から情報を取得するしかありませんでしたが、現在ではあらゆるチャネルで情報の収集ができるようになりました。デジタルネイティブの時代になり、その傾向はますます加速しています。Googleの調査分析メディア「Think with Google」では、幾つかの興味深いデータが示されています。
- 購買検討時に95%の人がネット検索を利用しており、その主たる目的は課題解決策の探索/製品群の概況調査
- 購買検討を開始する以前から購買した商品を認知していたのは77%
- 購買の決め手は機能・価格
- 情報収集担当者の約半数が35歳以下のデジタルネイティブ世代
- その中の81%の担当者の意見が最終決定に影響を与えている
上記のことから、インターネットやデジタル、テクノロジーを活用した営業活動が必須だということが分かると思います。「足しげく通ってさえいれば買ってもらえる」という時代は、終わりを迎えているのです。
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