誰のための働き方改革? 調査で見えたビジネスパーソンの本音:週刊「調査のチカラ」
「働き方改革」について、ビジネスパーソンの本音やいかに。残業規制やオフィスワーカーの労働環境に関する調査データをお届けします。
注目の調査
- 労働基準関係法令違反企業を売上高別に分類すると?
- 残業規制しても「残業時間は減らないと思う」が過半数
- 日本企業のITリーダー、41%が「従業員エクスペリエンスが重要」と回答
- 持ち帰り残業をしている人の65%に「退職意向あり」
2015年12月に大手広告会社の新入社員が過労自殺した問題は大きく報じられましたが、とりわけ同業者や関連業界に走った衝撃は大きかったことと思われます。良い仕事を成し遂げるにはまず良い環境作りから。厚生労働省は「働き方改革」を「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるもの」と位置付けています。残業時間の上限規制などの議論が進む中、当の働く人々はどのように感じているのでしょうか。今回は、調査まとめサイト「調査のチカラ」の9万件超のストックから、働くことにまつわる調査データをピックアップしました。
労働基準関係法令違反企業を売上高別に分類すると?
厚生労働省は2017年5月10日に「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として、法令違反した企業名を初めて公表しました。東京商工リサーチでは、2016年10月1日以降に労働基準関係法令に違反して書類送検されたこの334件(社数は332社)について、その実態を分析し、結果を発表しています。違反企業を産業別に見ると、建設業が115社(構成比34.6%)と3割を占めています。次いで、製造業76社(同22.8%)、サービス業他68社(同20.4%)という結果でした。また、建設業と製造業の合計191社については、労働安全衛生法違反が156社(同81.6%)と8割に達しており、建設作業現場や製造現場などでの安全管理義務を怠ったことで事故が発生したケースが中心となっています。続いて売上高別に見ると、「10億円未満」が164社(同67.2%)と圧倒的に多く、100億円以上は21社(同8.6%)にとどまりました。中小・零細企業を取り巻く厳しい現実の中、課題は少なくなさそうですが、実のある働き方改革を進めていきたいものです。
残業規制しても「残業時間は減らないと思う」が過半数
総合人材サービスのエン・ジャパンは、同社が運営する転職求人サイト「ミドルの転職」において「残業規制」についてのアンケートを実施しました。同サイトのユーザー755人に対して「『残業規制』をすることで残業時間(営業時間外の業務時間)は減ると思いますか?」と質問したところ、「減らないと思う」が54%で、「減ると思う」の46%を上回る結果となりました。また、残業規制のメリットとデメリットを聞いたところ、メリットの1位は「自分の時間が持てる」(61%)で、「家族サービスができる」(40%)、「1人1人のパフォーマンス向上につながる」(39%)などが続きました。デメリットの1位は「サービス残業を助長する」(55%)。また、2位以下には「急な案件への対応が遅れる」(44%)、「給与が減る」(40%)といった回答がありました。残業が減って困るのは案外、会社よりも労働者自身の方……という側面もあるようで。
日本企業のITリーダー、41%が「従業員エクスペリエンスが重要」と回答
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