サイバーエージェント流インターネット広告人材育成プログラム誕生の背景:マーケットで勝てる人材を量産する(1/2 ページ)
サイバーエージェントは2017年4月、インターネット広告事業部門において「次世代ンターネットマーケティングプログラム(通称:JIP)を導入した。その概要について担当執行役員に聞いた。
サイバーエージェントは2017年4月、インターネット広告事業部門において、企画営業職、コンサルタントの人材育成を目的に「次世代インターネットマーケティングプログラム(JIP)」を導入した。
日本の広告費インターネット広告市場が堅調に拡大する中、業界では慢性的な人材不足に悩む企業が少なくない。各社とも採用に注力して入るものの、社員が一人前に育つのをただ待っているだけでは、事業の成長に結び付かない。
そこで、サイバーエージェントが出した答えが、人材の早期戦力化を促すための「仕組み化」だ。JIP導入の狙いについて、広告事業部門の人事を統括するサイバーエージェント 執行役員の石田裕子氏に話を聞いた。
属人的なスキル継承を仕組み化する
――なぜ育成プログラムが必要だったのでしょうか。
石田 インターネット広告業界は変化が激しく、またメディアやクライアントの側にもそれぞれ個別の事情が多いため、作業をマニュアル化しにくいという現実がありました。結局一対一で隣の席の先輩からOJTで属人的なスキルを継承するという昔ながらのスタイルを取ることになります。一方で、マーケットそのものが拡大する中で当社では広告事業の採用を過去最大規模に強化しています。この1年で中途新卒合わせて400人強が入社してきていますが、これはメディアやゲームといった社内の他事業と比べても最多です。1人の先輩が5人を教えていかなくてはいけないような状況で、短期間で人が育つ仕組みが必要となってきたのです。
――JIPの概要について、あらためて教えてください。
石田 一言で言えば、インターネット広告に携わる社員がそれぞれに必要な知識や能力を体系化した育成プログラムです。プログラムは、あらゆる仕事の基礎となる超初級から始まって、初級、中級、上級、超上級まで、5段階を用意しています。即戦力化のために必要な要素を定義し、順序を決めて習得させた上で次のステージに進んでもらうというものです。
――具体的には、プログラムはどう進んでいくのでしょう。
石田 主に座学を中心に学び、試験にパスすると次のステージに進みます。新入社員は全員超初級から学びますが、それ以上は配属されるユニットによって受講する内容が異なってきます。例えば通販業界のお客さまを担当するのであれば、通販の知識や考え方、メディアプランニングの仕方などを習得していきます。縦軸がレベル、横軸は業界で、同時に複数のプログラムが走るという形です。
――共通プログラムとなる超初級ではどのようなことを学ぶのですか。
石田 最初の2週間で、どこに出してもお客さまと対等にコミュニケーションできるように、必要な最低限のことを学んでもらいます。インターネット広告概論に始まって、自社のプロダクトに関わること、ビジネスマナーやコミュニケーションに関わること、さらには法務、労務、セキュリティ回りまで、かなり幅広い知識を網羅しています。人材育成を配属先に丸投げせず、基本的に一人前にした上で渡すようにしたいと考えています。
――超初級の対象は新卒だけでしょうか。
石田 新卒も中途も、新たに入社した人は全てが対象になります。当社はメーカーや銀行など異業種からやってくる人も多くいます。また、業界内からの転職者であっても、どうしても知識にばらつきがあります。例えばFacebookの広告についてはよく知っているけれどTwitterは分からないというように、経験からしか学んでいないということはありますので。
――プログラムを作るに当たってはどんなことをやったのでしょう。
石田 お話しできることは限られますが、1つは現在第一線で活躍するトップレベルの社員がそこに達するまでにやってきたことを分解して言語化し、スキルセットとして定義するという作業です。何をいつまでにどういう順番で身に付けていけばいいのか逆算して、その人が5年かかったことを半分の時間でできるようにしたいと考えています。JIPは誰でもきちんと育つためのベースができたという意味でかなり画期的なのですが、一方で、マーケットで勝てる強い人材を短期間で量産できる仕組みでもあると思っています。
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