データで比較する40年前と現在のカスタマーサービス:企業の顧客対応力(1/2 ページ)
製品/サービスに不満を持つ顧客への企業の対応はどのように変わったのか。40年前と今とを比較した。
いつの時代も、クレームを申し立てる顧客や、製品やサービスに不平/不満をつぶやく顧客は存在する。こうした不平/不満を持つ顧客の行動や心理について、米国消費者庁が調査に乗り出したのは1976年のこと。それから40年近く経った2014年、製品/サービスに不満を持つ顧客に対し、企業の対応はどのように変わったのか。2014年3月18日にMIT Sloan Management Reviewに掲載された記事“What Unhappy Customers Want”(「不満がある顧客が欲していること」)によると、その比較結果は驚くべきものだった。
例えば、自分が持つ不平/不満についてだが、1970年代はせいぜい友人/家族10人くらいに話せばそれで終わりだった。ところが2013年は、ソーシャルメディアの発達により、ちょっとした不平/不満は平均280人に伝わってしまう。またちょっとした苦情が大きな怒りに育ってしまうケースも多く、2013年の調査では回答者の68%が企業に対し「激怒」「かなりの怒り」を感じたという結果が出た。また36%の人が、実際にその怒りの声を上げたこともあるという。さらにいえば、苦情報告をした時、最初の部署で解決せずにたらい回しにされたことに不満を持つ顧客も多い。実際、ファーストコンタクトで問題点が改善されたと答えた人は全回答者の21%にとどまった。以下、1970年代と現代のデータを比較しながら、カスタマーサービスの問題点を探っていこう。
1.苦情を奨励してもいいが、その解決のための準備をすること
1976年の調査によると、苦情を申し立てた顧客がそのブランドに対しロイヤリティが低下することはなく、むしろ通常の顧客に比べて9ポイントもロイヤリティが高かった。これに対し2013年の調査では、不満を持つ顧客は通常の顧客より12%ポイントもロイヤリティが低かった。
この差はなぜか。1970年代当時は、例え解決策がなくても「顧客の声を拾い上げる/不満に気付いてもらう」だけで充分だったからだ。現在はそうはいかない。顧客からのクレームや苦情を吸い上げたら、速やかに解決策を提示する仕組みが必要となる。
2.カスタマーサービスへの投資が生み出す結果を理解する
1970年以来、企業は不満対応を持つ顧客対応のために何十億ドルもの投資を行ってきた。ところが実際、その顧客対応に満足しているかと聞いてみると、「満足している」と答えた顧客はわずか20%しかいないという。1976年の調査では「満足している」と答えた顧客が23%だったから、この年月と投資した金額はすべて“無駄”といえるだろう。ちなみに2013年、こうした苦情やクレームに対しての対応においては56%が「何もない」と答えているそうだ。それは金銭的な補償はもちろん、それ以外の「何もない」、なしのつぶてなのが苦情対応の実際だ。この貧弱な顧客対応では、ブランドロイヤリティに大きな傷を与えることになる。
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