第4回 「ソーシャルでマーケティングはここまでできる」、最も身近なビッグデータとしてのソーシャルデータの活用法:【連載】「変わる」広告会社(1/2 ページ)
ビッグデータを単に分析の手段として活用するのではなく、アクションに結び付け、さらに実施した施策の検証にも活用。新たな市場を創造することができたかPDCAを回していくことが重要である。今回はビッグデータのマーケティング活用の第一歩としてソーシャルデータの活用をご紹介する。
ビッグデータのマーケティング活用の第一歩としての「ソーシャルデータ」
スマートフォンやタブレット等の「いつでもどこでも」ネット接続ができる端末の普及と、それらの上で利用されている「特に要件はなくともアクセスしたくなる」ソーシャルメディアによって、生活者の情報伝達の回路は大きく変化している。これらの変化によって、マーケティング戦略の立案と遂行に関係するデータ量は急速に拡大、ビッグデータは広告会社のプランニングに大きな変化をもたらしている。従来のように「限られた量で、必ずしも最新ではない、分断された情報」で判断をし、アクションしなければならなかったことも多かったが、「膨大な量で、最新の、統合された情報」で判断できるようになったことで、より精度の高いアクションが徐々に可能になってきているからだ。
マーケティング戦略を立案する上で最も重要なのは、ターゲットとする生活者に、どのタイミングで、どのような情報のやりとりをし、商品やサービス、企業等との長期的な関係性を構築するかである。
生活者が情報のやりとりに活用するタッチポイントや、その優先度、やり取りする情報の内容が変化すれば、当然戦略立案プロセスも見直す必要がある。ビッグデータによるマーケティングの次世代化の本質は、仕事の進め方や、意思決定の仕組み、さらには組織や人事評価体系のありかたまで、全体最適の視点で見直していくことを求められているということにある。
一方で各企業におけるマーケティング活動は、宣伝部や営業部などの既存の複数の組織を横断して、これまでに収集可能であったデータを活用し、さらにこれまでのマーケティング活動の反響や、さまざまな制約条件の存在する現場での経験値の蓄積等も加味して実践されている。
そのため、データを活用したマーケティングプロセスの革新について、総論としては賛成でも、各論になるとさまざまな問題が発生し、なかなかスムーズに実践できない……という声が多いのも事実である。
これは日本にだけ独特な問題ではない。最高マーケティング責任者(CMO)が企業の全社的なマーケティング活動を統括しているケースが多い米国においても、デジタルデータを活用した次世代マーケティングの推進にあたって、「技術」だけではなく「組織」が課題という声も目立つ。2013年3月に米ソルトレイクで開催されたアドビデジタルマーケティングサミットでも、繰り返し「サイロを崩せ」(=組織の壁を崩せ)と繰り返されていたことも象徴的である。
こうした状況の中で、我々はビッグデータ活用の第一歩として、ソーシャルデータのマーケティング活用に注目している。ソーシャルデータは最も身近に存在するビッグデータの1つである。入手が比較的容易で、関係者にとっても一生活者としてなじみが深いデータであり、活用の抵抗感が低いからである。
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