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LINEをビジネスにどう生かす?――ローソン、ピザショップ、京都府の場合自社のファンをLINEで増やす(3/3 ページ)

スマートフォン向け無料通話アプリ「LINE」を、ビジネスに活用する企業が増えてきている。そんな中、廉価版公式アカウントとして注目を集めているのが「LINE@」だ。

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 2012年12月のリリース以降、既にいくつかの企業がLINE@のアカウントを開設している。ここでは、2月20日に行われたLINE@のビジネスセミナー「〜できる店舗・施設オーナーのLINE@活用術〜」で紹介した3つの事例を見てみよう。

109系アパレルブランドのファンを増やす


 1つ目は、婦人向けアパレルメーカーのクレッジだ。LINE@のアカウントを開設したのは同社のアパレルブランド「LIP SERVICE」。全国で約40店舗を展開をしている。いわゆる渋谷109系の若者向けブランドだ。現在、1万3400ユーザーがLIP SERVICEのアカウントを登録している。

 クレッジがLINEに注目していた理由は主に3つ。ユーザー属性、スマートフォンアプリ、プッシュ機能だ。クレッジが運営するLIP SERVICEが10代後半から20代前半をターゲットにしており、かつスタッフもLINEを使っていたので情報が届きやすいだろうと考えた。さらに自社で運営しているeコマースサイトの売り上げもスマートフォンからの購入シェアが75%を占めており、LINEのユーザーと親和性が高いと感じたからだ。

 ところが公式アカウントの開設は躊躇(ちゅうちょ)していた。予算の条件が折り合わなかったからだ、何か手立てがないかと思っていたときにLINE@がリリース。すぐに申請を出したという。

 アカウント開設の狙いは、シンプルに「既存顧客やリピーター、ブランドのファンに対して情報を正確に届けること」。メールマガジンでは登録のハードルがなかなか高く、変更のリスクもあったが、LINE@では確実にメッセージを届けたいという。

キャラクターを立てて親しみやすいアカウントに


 続いてはピザのファストフード店「Napoli's PIZZA&CAFE」(以下、Napoli's)のアカウントを運営しているツヅクル。2012年4月、東京・渋谷に最初の店舗をオープンした企業だ。Napoli'sの場合は「刑事ナポリス」というお店のキャラクターをアカウントのキャラクターとして設定している。LINE@を始めたきっかけは、1店舗目をオープンしたときから公式アカウントをしたいと思っていたタイミングでLINE@を知り、すぐに申し込んだという。

 Napoli'sでは以前からFacebookやTwitterも活用していたが、よりコアなファンを増やしたい狙いでLINE@を活用した。LINE@の場合はユーザーがID検索やQPコード読み取りをして自発的に登録しなくてはならず、「本当にNapoli'sが好きな人」が登録をしている点がほかのSNSとの違いだという。いわばお店のファンにもなってもらいたい考えでLINE@アカウントを開設した。

 LINE@アカウントならでは経験もあるという。先日東京で雪が降った際に、「雪の日でも来てくれる人にコーヒーをプレゼントするので来てほしい」というメッセージを送ったところ、全登録ユーザー数300人のうち、30人が実際に店舗に来てくれだ。お店のスタッフからは、もっとこうした施策を増やしてほしいとの要望が来ているという。

 今後もその日その日の状況に応じて、臨機応変にメッセージ内容や配信時間を工夫していきたいとしている。

より多くの府民とコミュニケーションを図りたい


 3つ目は、行政では初参加となった京都府だ。京都府では以前からTwitterやFacebookを活用し、インターネットを通じた情報発信に力を入れてきた。LINE@を始めたきっかけは、これまでなかなかリーチできなかった若い女性層がちょうどLINEのユーザーとマッチすると考えたからだという。

 LINE@開設に当たっては、広報課の担当者が知事に相談してからたった3日で導入に至ったという。京都府の山田啓二知事は府民とのコミュニケーションを取るためならばと、許可を下した。一時は公式アカウントの開設も検討していたが、予算などさまざまな兼ね合いでLINE@を選んだ。

 またLINE@はユーザーが友達登録をするハードルが公式アカウントよりも高い分、本当にファンの人が登録している可能性が高いと考えたのも理由の1つだ。「まゆまろ」というキャラクターを立て、親しみやすいアカウント運営を心掛けている。

 運営面では、複数人でアカウントを管理している分、キャラクターの設定がぶれないように配慮しているという。

 また配信時間にも工夫をしている。以前は毎週金曜日の夕方5時にしていたところを、どうやら若い世代がもう少し遅い時間にスマートフォンを見ていると推測し、19時配信に変えた。そのように反応を見ながら柔軟に変えていくのもLINE@の運営方法の特徴だという。

今後のLINE@に期待すること

 2月20日のセミナーでは、LINE@を導入している上記3者から「自社のECサイトへのリンクの許可」「管理インタフェースの改善」「スタンプの許可」などの要望が出た。自社のLINE@アカウントに登録したユーザーだからこそ受けられる恩恵をより多くし、店舗へ足を運ぶ人が増えたり、ファンが増えることが導入企業としても望むところのようだ。

 NHN Japanではこれらの要望を検討していくとともに、LINE@がO2Oマーケティングのインフラとなるよう、さらにサービスを拡充する方針。「LINE@は2012年12月にローンチして、まだ第1段階。スマートフォンは、30年前に車が社会に浸透したのと同じくらいのインパクトをもたらし、恐らく今後気が付いたらみんな持っていた、という世の中になっていく。そうしたときにLINE@を軸に企業と顧客とを結び付けるインフラとなっていきたい」(田端氏)

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