第5回 専門雑誌かFacebookか、ワインファンにリーチできるプロモーションの模索――リーデル・ジャパン:【連載】高広伯彦が聞くソーシャルメディアとマーケティングの今後(1/2 ページ)
250年以上の歴史を誇るワイングラスの名門ブランド「RIEDEL(リーデル)」。ワインファンの心をつかむコミュニケーションの秘訣について、スケダチの高広伯彦氏がRSN JAPAN マーケティング部 デジタルマーケティング プロジェクトリーダー 西村敏雄氏に聞く。
ビールと麦チョコのマリアージュでグラスが売れた
高広伯彦氏/1996年、博報堂入社。出版営業局を経てインタラクティブ局で、メディア開発、インタラクティブマーケティング領域の業務に従事。iメディア局ではコンテンツ開発やビジネス開発を行う。2004年に電通に転職し、「牛乳に相談だ。」キャンペーンなどを手がける。その後、Googleに入社。AdWordsの日本におけるマーケティングや、YouTubeの広告ビジネスの日本導入などを手がける。2009年に独立し、コミュニケーションプラニングを専門に手がける「株式会社スケダチ」の代表として企業のコミュニケーションを企画する。2012年8月には日本初のインバウンドマーケティングエージェンシー「株式会社マーケティングエンジン」を設立した。著書に「次世代コミュニケーションプランニング」など。
高広伯彦氏(以下、高広) リーデルさんの本社はオーストリアですか?
西村敏雄氏(以下、西村) そうです。ただ、最も大きな市場はアメリカ合衆国です。英語版のFacebookページは頻繁に更新されていますし、Riedel Crystal of AmericaのCEOであるMaximilian Riedelのページも5万8261人のファンがいます。Facebookのファン数でアメリカに次いで多いのが、リーデル・ジャパンが運営する日本語版です。
高広 英語版が6万9000人強、日本語版が6万2000人強。(2月7日現在)拮抗していますね。アメリカのFacebook人口の総数を考えると、リーデル・ジャパンはFacebookをうまく活用している感じがします。
西村 そうですね。
高広 僕はリーデル・ジャパンのFacebookページに漂う雰囲気が好きなんですよ。僕の(Facebookの)友人のうち、115人が「いいね!」をしています。
ところで、西村さんが印象に残っているFacebook投稿にはどんなものがありますか。
西村 “数字が動いた”という意味では、ギネスビールを麦チョコと合わせて飲むという投稿です。
高広 わりと最近の投稿ですね。
西村 はい、2012年12月14日の投稿です。売り上げに大きな影響がありました。通常、12月というのは季節的にビールグラスはそれほど売れないのですが、この投稿があった週は(写真の)ビールグラスが前週の4倍ほど売れ、ビールグラスと一緒にお買い求めいただいた商品も含めた売り上げとしては10倍弱となりました
ビールと麦チョコという組み合わせが、ワインより試しやすいと思っていただけたんでしょうか。このビールグラスは単価が3150円なので、弊社のなかでは買いやすい部類のグラスだったこともポイントだと思います。
高広 この投稿の面白いところはビールグラスを紹介していないところですね。メインはあくまでビールと麦チョコ。なのに売り上げ増という結果が出た。
西村 もちろん商品サイトへのリンクは貼っていますが、基本的には担当者がやってみて楽しかった、美味しかったというだけです。そこがお客さまに共感していただけたんでしょうね。
高広 他にもこういった事例はありますか?
西村 (2012年の)夏にプレステージ・シャンパーニュを使った2万円ぐらいのセミナーを行いました。最初は雑誌で広告を出したのですが、14名枠に7名程度の集客でした。ところがFacebookでグラスをいくつか並べて、「どのグラスだとこのシャンパンを美味しく飲めると思いますか?」と質問形式にして、「興味がある方はセミナーへ」と投稿しました。結果的に、数日で38名もの人が集まり、定員オーバーになったので、抽選という形になりました。
高広 僕もリーデル・ジャパンのFacebookページは見ていますが、欲を言えば限定商品がFacebookを通じて買えるといいな、と思います。スターバックスとのダブルネームのグラスはとても欲しかった。
西村 本社のブログで発見して、僕らもびっくりしたんですよ。
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