第2回 スマートフォンの端末別ユーザー分析と効果的なマーケティング施策:【連載】日本経済を変えるスマートデバイスマーケティング(1/2 ページ)
「第1回 スマートデバイスの爆発的な普及とマーケティングの可能性」では、スマートデバイスの市場規模やマーケティングの基礎となる内容を解説した。今回は、端末ごとに異なるユーザーの特徴を明らかにしながら、それぞれのユーザーに効果的なマーケティング手法を模索する。
本連載について
普及台数が国内でも30%を超えたスマートフォン、スマートフォンに負けじと普及率が増加するタブレット端末――。右肩上がりに伸び続けるスマートデバイスに対して、企業はどのようなマーケティング施策を打つべきなのか。本連載では、マーケティング戦略上、最も重要なデバイスと言っても過言ではないスマートデバイスのマーケティングを多角的な視点で考える。
スマートフォンユーザーとタブレットユーザーの違い
まずはスマートフォンユーザーとタブレットユーザーの違いに触れよう。
元々、ビジネスユーザーから普及が始まったスマートフォンは普及台数の伸びにつれて、より一般ユーザーへの普及が進んでいる。当初はビジネスユーザーのスケジュール管理やドキュメント作成/閲覧ツールとしての役割を果たしていたスマートフォンだが、今ではアプリケーションの多様化や通信速度の高速化による環境の変化に伴って、より幅広いユーザー層での利用が進んでいる。
それに対し、タブレットユーザーはスマートフォンの導入期に近いユーザー構成となっている。30歳以上の男性の使用率が高いことから、ビジネスシーンや書籍閲覧で使用されていることが想定される。普及台数で比較すると見劣りするかもしれないが、アップルのiPad miniやアマゾンのKindle、グーグルのNexus7など、続々と新端末が発売されており、今後ユーザー層の多様化が進むと考えられる。
iPhoneとAndroidユーザーの違い
スマートフォンユーザーと言っても、端末に搭載されるOS(アップルのiOS、グーグルのAndroid)によってユーザーの特性は大きく異なる。OSの違いによって、同じ広告手法でも得られる効果に大きな差が出ることもしばしばある。まずはそれぞれのOSの特徴を見ていこう。
アプリ数の豊富さ
iOS端末向けには全世界で65万本のアプリが存在し、およそ300億回ダウンロードされているという。一方、Android端末向けには60万本のアプリが存在し、ダウンロード数は推計およそ200億回。
アプリ数で比較すると大きな差は見られないが、ダウンロード数に違いが見られる。理由はマーケット(アップルはAppStore、グーグルはGooglePlay)の審査基準の違いである。GooglePlayと比較して、AppStoreの方がアプリの審査基準が厳しく、結果的に高品質なアプリが集まるためにダウンロード数が多くなったと考えられる。
支持されている要素
■iPhoneの場合
デザイン性:ホームボタン1つとタッチパネルだけで全ての操作が完了する簡単さ。直感的で分かりやすい操作仕様。シンプルなデザイン
電池持ちの良さ:iPhoneのバッテリーにも寿命はあるが、Androidはそのマルチタスク性ゆえ、バッテリー寿命が短い傾向にある。最近では電池の持ちがいいAndroid端末も出てきているが、現状ではiPhoneの方が電池の持ちがいいと考えられる
iTunesでの管理:音楽をはじめ、iPhoneとPCとの連携や管理はすべてiTunesで行う。音楽再生ソフトとしても非常に優れている一方、Androidには必ず使わなければいけないソフトはない
■Android
カスタマイズ性:Android端末はホーム画面の着せ替えやウィジェットの配置など、ユーザーの趣味/趣向に合わせたカスタマイズができる。iPhoneでは、天気予報を確認したり、ソーシャルメディアをチェックするにはアプリを立ち上げる必要があるが、Androidでは閲覧頻度の高い情報をホーム画面の一部を使って表示させることができる
お財布携帯/絵文字/ワンセグなどガラケーの機能が搭載:ガラケーから機種変更する際に今まで使えていた機能が使用できなくなるのは、ユーザーにとってストレスの元である。しかし、最近のAndroid端末はガラケーの機能をほとんど搭載している。
iPhoneとAndroid端末のユーザーの違い
国内のスマートフォン普及台数が1000万台の頃には、iPhone、Android端末で男女比や年齢比に大きな違いが見られたが、ユーザー数の増加によって、違いが薄れつつある。スマートフォンの普及台数については、2013年度以降も引き続き右肩上がりの伸びが予測されており、より広く一般ユーザーへの普及が進むだろう。
以上、同じスマートフォンといえども、OSごとに異なるそれぞれの特徴を押さえなければ、コストパフォーマンスの優れたマーケティング施策の展開は困難である。
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