ネガティブコメントに「真実」で返した動画:幸せなピリオドなんてない:ピンチはチャンス
ソーシャルメディアの運営担当者ならば炎上などのトラブルにどう応えるか、日ごろから想定しておくべきです。今回は難癖とも思える書き込みを利用することでPRに成功した事例を紹介します。
ソーシャルメディアを運営していると、時にネガティブなコメントや反応が返ってくることがあります。ネガティブな反応にどう対応するか、ということについては、下記の記事でまとめています。
避けては通れない!ソーシャルメディア上のネガティブなコメント:対応のヒント(Social Media Experience)
通常は、上記の内容を踏まえた上で、最適な対応を検討すればよいでしょう。先日イギリスのある会社は、Facebookページに投稿されたネガティブな投稿に対して、動画を使って見事な返答をすることで、その企業の好感度、信頼性を上げました。今回は、この事例を紹介しましょう。
Facebookページに投稿された男性の意見が話題に
Bodyformはイギリスの女性用生理用品のメーカーです。日本でもそうですが、生理用品のCMといえば、その製品を使えば女性が元気になってアクティブになるというイメージが使われます。利用イメージには青い水を用います。Richard Neillを名乗るある男性が10月9日、BodyformのFacebookページのウォールに次のような趣旨の投稿をしました。
「男として聞きたい、なんで何年間もあんたは嘘をつき続けているんだ。子どもの頃から広告を見るたびに、女性というのはピリオド(生理中、以下同様)の時はなんて楽しそうなのかと、うらやましく思っていた。つまり、バイクに乗って、ジェットコースターに乗って、踊って、パラシュートに乗って。なんで、自分はこの喜びの時を、青い水を、羽を楽しめないのかと。で、彼女ができたので、彼女のその時を楽しみにしていた。そしたら、うそじゃないか。楽しくないし、激しいスポーツも無理、青い水じゃなかった。Bodyformめ、やさしかった女の子がエクソシストの少女みたくなったじゃないか」
一見すると、単に難癖をつけているだけにしか見えない投稿です。こんな投稿が自分のFacebookページにあったらどうしますか? 難癖と考えてそのままにする、削除する、あるいは、「貴重なご意見ありがとうございます。真摯に受け止め、今後の改善を検討させていただきます」という紋切り型のコメントを返すか。この投稿は、その後、同様のコメントが複数の男性によって、Facebookページにコピーペーストされるなど話題になりました。
この意見に対する反応は動画メッセージ!
しかし、Bodyformはこの投稿がなされて1週間後の10月16日に以下の動画を投稿しました。
この動画には、CEOに扮した女優が登場し、Richardに呼びかけ「嘘をついてごめんなさい」と語り始めます。
「スカイダイビング、乗馬は全部メタファーであって、本当のことではありません。言いたくないけど、幸せなピリオドなんてないの。過去に、より真実に近いアプローチをとろうと考えたことがありました。80年代には、腹痛、気分の落ち込み、食べ過ぎなどを伝えようとしたシリーズもありました。本当は真っ赤な血が出ます。だけど、戦略が間違っていたことに気づきました。そして今のところは、幻想を維持することにしています。でも、Richard、あなたは本当のことが分かったよね。女性が隠していた真実に、男全員がさらされるようになってしまった。あなたがやったのよ。よくやったわね(青い水を飲む)。心にしまって、私たちを許して欲しい」
このメッセージ動画はFacebookやTwitterで話題になり、さらにさまざまなメディアに取り上げられたことで、すでに82万回も再生されています。なお、この動画は、 CaratとRubber Rebublicという会社によって制作されました。制作会社がそれぞれすぐにブログで関連記事を挙げているのも、戦略なのかもしれません。
強いメッセージを伝えることができるか?
今回の動画を公開することで、Bodyformの評判は上がりました。キャンペーンなどを実施するよりもはるかに多くの反響を得ることができました。また、明るい広告に隠された女性の本当の気持ちも伝えられることになりました。広告にある「作られた嘘」を正面から否定するという正直さが多くの共感を得たのです。
自社のミッション、製品に対する思い、広告戦略などを十分に踏まえた上での動画のメッセージは、強いメッセージ性も持っています。ただし、一方で、「そもそもの投稿がやらせ投稿だったのでは? 」という意見もあります。もし、そうだとしたら、戦略的過ぎるソーシャルメディア活用事例ということになります。
どちらにせよ、ユーザーからのネガティブな反応が来たときの対応方法として、見た人の共感を生む強烈なカウンターになるようなコンテンツが作れることは、公の場でリアルタイムに反応していく必要のあるソーシャルメディアを利用する上で、重要な戦略になるでしょう。
※この記事はSocial Media Experienceの「ネガティブコメントに「真実」で返した動画:幸せなピリオドなんてない」を一部修正して転載しています。
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