なぜコンビニは人気のない「エッグタルト」を売り続けるのか:仕事をしたら“お客の顔”が見えてきた(2)(5/5 ページ)
ローソンでスイーツの販売データを見せてもらった。それによると「エッグタルト」はあまり売れていないのに、店頭に並び続けている。人気のない商品は消えていくはずなのに、なぜ「エッグタルト」を売り続けるのか。
タニタ弁当は会社員が買っている
土肥:最近はパッケージにカロリーがどーんと表示されている商品が増えてきました。ローソンでは低カロリーをウリにしたタニタ弁当を扱っていますが、やはり女性層を中心に人気があるのでしょうか?
倉持:ドイさんもそう思われますか? 実は、タニタ弁当はまずナチュラルローソンで販売しました。ナチュラルローソンの客層は女性が約6割なので、女性がタニタ弁当を買っていただけるかなあと思っていたんですよ。でもカードデータを調べてみると、男性のほうが多かった。
土肥:ほー。低カロリーの菓子パンと同じような動きが見られたわけですね。
倉持:2011年にナチュラルローソンで生姜焼きをメインにしたタニタ弁当を発売したところ、男性を中心に1〜2位を争うほど売れました。その後、関東の青い看板のローソンでも売り始めたのですが、そのときには女性を中心に売れたのです。
土肥:それはなぜですか?
倉持:品揃えの影響があったのかもしれません。ナチュラルローソンでは女性向けのお弁当がたくさん並んでいるので、生姜焼きがどーんと入っているものに興味がわかなかったのでしょうね。
その後は関東だけでなく、全国で販売することになりました。で、カードデータを見ると、関東ほど売れなかったんですね。むしろ男性のほうが売れました。
土肥:むむ。混乱してきました。関東のナチュラルローソンでは男性、青の看板では女性にも売れた。しかし関東以外では男性に売れた。
倉持:関東以外では客層によって差が浮き彫りになりました。会社で働く男性が多いお店で、タニタ弁当が売れていることが分かりました。
土肥:私の周りの男性も、年中ダイエットをしている人が多いですからね(笑)。
Sさん:います! います! 広報部にいる男性Iさんも、ランチはサラダしか食べません。一体……何が目的なんでしょうねえ(笑)。はっ、このことは書かないでください(汗)。
――世相が反映されていますので、書きました(土肥)
倉持:東京の都市部ではタニタ弁当が売れました。また地方では、会社の近くにあるお店で売れていますね。
(つづく)
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