第4回 ユーザー視点で考える、“貴社の展示会施策の成果が上がらない理由”:【連載】リードナーチャリングは顧客のキモチに立って
展示会への出展を瞬間風速的ではなく、中長期的なスパンで「(顧客を)育てる/自社製品に徐々に振り向いてもらう」機会と捉え直すことができれば、その場で接点を持ちえた全ての名刺情報が「資産=未来の顧客」となり得るはずだ。
展示会で成果を上げるために大切なこと
秋の展示会シーズンがやってきました。多くの企業が、見込み客との接点を持つために出展する展示会。ただ、展示会に出展することと、展示会で未来の顧客に出会い、事業を拡大することは別の話です。
今回はリードナーチャリングの視点から、展示会を通じて未来の顧客にしっかり出会うための考え方を紹介します。「1年間の販促予算のほとんどを展示会に突っ込んでいるけれど、実はその効果を体感できたことがあまりない」というBtoB企業のマーケティング担当の方に読んでいただければと思います。
「大量の名刺を獲得したのに商談が少なかった」という課題
“展示会に出展し、名刺を3000枚獲得。その場で対応した営業に聞くと、HOTな商談は10件あるらしい。とりあえず、3000の宛先に御礼メールを送って、ホっと一息。でも、実際に商談まで進んだケースは少なかった……”
そんな経験ありませんか? 展示会絡みの課題は以下の3つにまとめられると思います。
- 名刺の目標獲得枚数を達成して喜んだものの、営業成果へのつながりは不明
- 出展前は準備に忙殺されるため、「無事に出展し切った!」で満足してしまう
- 獲得名刺に対するフォローは営業まかせ。どうなったか追えていない
マーケティング担当者の多くが、出展自体をゴールとするような瞬間風速的なレンジで目標を設定している傾向にあります。
出展企業の多くは「出展前準備&出展期間内」に全パワーを集中し、燃え尽きる傾向に
“「出展する」が最終目的になっていて、その後のフォローについては営業担当任せ。単体施策として捉え、その後のフォロー計画を立てていない”
このような、事後フォローを考慮しない展示会出展計画が、商談を生まない背景として存在しています。本当に大切なのは、展示会で獲得した名刺を継続的にフォローし、そこからの「成果」をきちんと追っていくことです。
1年間の販促予算のほとんどを展示会に突っ込んだのに、そこで獲得した名刺を自社セミナーの案内を送るだけにしか活用できないのはとてももったいないことです。来場者の気持ちを考慮したフォローをすることが展示会の成果を最大化する秘訣です。そのために、まずは展示会で出会った3000名の来場者の購買プロセスを考えてみましょう。
来場者は名刺交換をしただけでは、課題/導入意欲は醸成されない
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