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第4回 日テレ「JoinTV」の挑戦――テレビの価値はビッグデータ+セカンドスクリーンで「視聴率」から「視聴質」へ【連載】ビッグデータアナリティクス時代のデジタルマーケティング(1/2 ページ)

テレビの視聴時間は減少傾向にある。視聴率がとれなければスポンサーはつかない。どうするか? 日本テレビが出した答えは「テレビをもっと面白くする」だった。「視聴率」の獲得ではなく、「試聴質」向上への挑戦。スマートデバイスとソーシャルメディアを使ってテレビを玩具にする日本テレビの「セカンドスクリーン」戦略とは?

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 今回は、ビッグデータアナリティクス時代を迎え、現在のテクノロジーの変化に対応しようとしている企業を紹介したい。家政婦のミタが視聴率40%を超え、2011年度視聴率三冠王に輝く「日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)」だ。

 一見、放送業界は放送利権に守られた保守的な業界のように見えるかもしれない。それに有識者や芸能人を用いて番組を作り、裏方の人間が巧みの技でセットを作る。そこには昔ながらの人間中心の文化があり、どこかアナログな雰囲気が漂う。ビッグデータのようなITの世界から少し離れた業界のように思われているかもしれない。

 しかし、実際にはITによる技術革新によって、放送業界を取り巻く環境は激変している。ビッグデータアナリティクスの採用とて例外ではない。

スマートデバイスの台頭でメディアを取り巻く環境が激変

 アスキー総研の調査によると、スマートデバイスの出現によって、2010年末から2011年末の1年間で大きな大陸移動が起きているという。ゲーム機の利用率は45.4%から35.7%へと低下した。ゲームはもはやスマートデバイスで遊ぶ物であり、ゲーム機で遊ぶユーザーの方が少数派になっている。パソコンからのインターネット利用も173.5分から151.4分へと低下。モバイルへのシフトが顕著に表れている。


スマートデバイスへとシフトする視聴者の時間

 テレビとて例外ではない。1日のテレビの視聴時間は152.0分から134.1分に減少したという。旧来利用されてきたメディアの減少分がスマートデバイス利用時間へとシフトしているのだ。特に若い世代のテレビ離れが顕著だ。こういった状況もあり、テレビ局として傍観しているわけにはいかない。視聴率だけを優先するならばシニア層や主婦層に向けた番組を作れば良いのだが、それでは公共の電波を使うメディアとしての役割が果たせなくなってしまう。

 ネットとスマートデバイスへと向かう若い世代にもリーチすることはメディアとしても重要な役割なのだ。

なぜテレビは見られなくなったのか

 「テレビ以外にも娯楽が増えた」「仕事や学校が忙しくなった」「番組がつまらなくなった」。理由は色々考えられるが、本記事では下記2点の仮説がテレビ離れを加速させているとしたい。

[仮説1]スマートデバイスとの接触時間が増えた

 これについては前述した。居間で見るテレビより、常時持ち歩くスマートデバイスとの接触時間が増えるのは当然とも言える。スマートデバイスになったことで、従来インターネットは「Pull」型コンテンツと考えられていたが、毎日のように「お知らせ」が届き、「Push」型コンテンツへと変化した。

[仮説2]ソーシャルメディアにより身近事に関心を持つようになった

 ソーシャルメディアによる情報収集や交流が盛んになってくると次第に世の中事への関心が薄まっていく。毎日のように流れてくる友人達の呟き、仕事仲間からの気になるニュースのシェア、誕生日のお知らせ、飲み会への誘いなど、自分の周囲の話題で溢れている。

 こういった環境下にいると、世の中事への関心が薄らいでいくと考えている。それゆえ、世の中事を伝える新聞やテレビが発信する情報を面白いと感じることがなくなっていく。遠い世界の芸能人の追いかけっこより、友人が今何を食べているかの方に興味を感じる。

 テクノロジーの進化により、人々の関心が世の中事から、身近事へと価値観のシフトが生まれている。

 スマートデバイスとソーシャルメディア、この新しい技術にチャンスを感じる人々は多いが、テレビ局にとっては黒船だったのである。

 しかし、この黒船の存在にいち早く気づき、対応しようとする放送局、それが今回紹介する日本テレビだ。同社はビッグデータを活用し、テレビに新たな価値を創造しようとしている。

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