第2回 コミュニケーション戦略マップ――BSC各視点の因果関係を整理:【連載】コミュニケーションデザインのための戦略フレームワーク(1/2 ページ)
今回はコミュニケーション戦略マップの概要を紹介します。コミュニケーション戦略のビジョンや目的、達成目標を俯瞰的に捉え、さらには、それらを組織で共有し、共鳴して増幅できる環境を整えるための指針です。
なんとなく始めたはいいが、成果が出ない、成果が見えない
コミュニケーション施策は、とかくバラバラで無駄が多くなりがちです。1人の優秀な人材頼みではなく、“誰がやっても同じようにコトが進められる”という環境を整える必要があります。また、その仕組みをゼロから検討するのでは効率が良くありません。ましてや、せっかく検討したものに“ヌケ”や“モレ”、”ムダ“があってはなかなか関係者に受け入れてもらえません。
組織が協調して施策を展開する時には、そのビジョンや目的、達成目標を共有し、共鳴して増幅できる環境を整えることが必要です。コミュニケーションの仕組みを整えることも同様です。コミュニケーション施策の位置づけや役割、求められる効果を関係者間で共有するための重要なツール、それがコミュニケーション戦略フレームワークです。
自社商品(やサービス)の魅力や価値を生活者に伝えるために、広告やWebサイト、DM、メール、店舗での接客など、さまざまな接点で生活者とコミュニケーションが図られています。その目的は生活者との関係強化であったり、新たな需要創出だったり、ブランド価値の向上などさまざまだと思います。
しかし、それらの目的は、実際、「お題目」程度となっていませんか。目的(や理由)が軽視され、せっかく行なわれたコミュニケーション活動の成果が出ない、成果が見えないといったことはないでしょうか。しかも、曖昧な目的で始めてしまったため、負担ばかりがかかり、思ったほどの効果が得られず、“割に合わない”結果に終わってしまうことも少なくないのではないでしょうか。
このことは、コミュニケーション活動に限った話ではありません。ある活動の裏には、必ずその活動を選び、実施するための判断基準があります。その基準はある価値観の上に成り立っています。言い換えるなら、ある行動判断には理由があり、その理由はある価値観に根ざしているのです。活動の“実践”以上に、実践の背景にある“価値(観)”を重視する必要があります。何が大事で、何が大事でないかという判断、ものごとの優先順位づけ。簡単に言えば、「大事にしていること」です。同時に、コミュニケーション活動を実践する上でのノウハウも重要です。その実践の結果、意図した成果が得られるようになるのです。
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