「メルマガ神話」を疑え:Webマーケティングを営業力に(2/2 ページ)
メールマガジンを配信すれば売り上げが上がると考えるのは早計だ。メールマガジンをこう送るべきだという「メルマガ神話」を信じてしまっていないだろうか?
定形化がむしろ効果を落とす
メールマガジンに対する間違った思い込み(2)
- 頻繁(ひんぱん)にメールを送って、読者の記憶に残るのが良い
- 継続的に送ることは必須
- アスキーアートを駆使するなど、装飾して送った方が効果が高い
メール配信が定形化しすぎると、当然「自分だけに来たメールだ」という感触は落ちてしまう。「一括で同じメールが送られている」と相手が感じた瞬間に、メールの効果は圧倒的に落ちる。法人営業におけるメールマガジンにおいては、頻繁(ひんぱん)に、かつきれいに装飾されたECサイトのようなメールマガジンを打つ必要はない。
メールを読む立場で考えてみると、たとえ年1回でも重要な情報が見やすく配信されれば十分だと感じないだろうか? また知っている人のメールアドレスで情報を提供してもらった方が、情報に対する信頼度も高まるのは当然だろう。メールマガジンとして定形化してしまうことで、むしろ効果を落としてしまうのだ。
パーソナリティは意思決定と無関係
メールマガジンに対する間違った思い込み(3)
- 時候のあいさつを入れる
- 担当者のパーソナリティを出す
知らない担当者のパーソナリティが意思決定の決定打になることはない。多くの読者は担当者のパーソナリティではなく、有益なキャンペーンや上質なセミナーや自社のためになる新商品情報を求めているはずだ。複数人の稟議を経由する法人の意思決定においては、メールに記載している実質的な情報が影響する。必ずしも担当者の個性を訴求する必要はないのだ。
メルマガ神話を疑え
わたしは、今回紹介したメールマガジンに対する担当者の思い込みを「メルマガ神話」と呼んでいる。「メールマガジンはこう送ると効果が出るはずだ」というまことしやかな神話だ。
しかし、Webマーケティングの一環としてメールマガジンを考えたとき、一連のメルマガ神話を信じていると、残念ながら間逆の成果が生まれかねない。本来は私信で送ることができるメールを、無理にメールマガジンにすることで、相手とのコミュニケーションの質も一気に低下してしまうからだ。例えば、2000人ぐらいの顧客リストなら社内の営業マンが手分けしてメールすれば済むかもしれない。
メルマガ配信システムを導入してしまったからといって、無理やりメルマガを配信する必要はないのだ。メールマーケティングに求められるのは、「メールマガジン」と「個々に送る私信メール」の切り分けやバランスを設計することではないだろうか。
感度の高いビジネスパーソンならば、ぜひメールマガジンを顧客視点で見直してみてほしい。次回は、メールマガジンが今後も長く続くような仕組みにするにはどうすればいいかを掘り下げるとともに、法人営業のメールマーケティングの課題を読み解く3つのヒントを解説する。
著者プロフィール:渥美英紀(あつみ ひでのり)
株式会社ウィット代表取締役。B2BのWebマーケティングに精通し、自身の実績や優良な法人営業サイトのノウハウをまとめた「ウェブ営業力」(翔泳社)を出版。Webマーケティング戦略の立案、Webサイト発注のためのRFP作成支援、web集客のプランニングなど上流工程のサービスをはじめ、Webサイト/コンテンツの制作、アクセスログ解析、システム開発などクライアントの課題解決に必要なパーツを各種提供している。
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