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効果測定を怠らないTwitterこそが勝ち残る企業とTwitterの向き合い方(3/3 ページ)

企業がビジネスにTwitterを使う場合、正しい効果測定をすることは不可欠だ。成功を収めている企業から、効果測定の手法やその効果を学ぶ。

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(3)顧客サポートの成功事例

comcastcares

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 「comcastcares」は米大手ケーブルテレビのComcastの顧客サポート用のアカウントで、フォロワーは3万人強だ。フェイマス・フランク氏をリーダーに10人のサポート部隊でチームを構成。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア対応の専門組織として活躍している。

ComcastのTwitterカスタマーサービスチーム
ComcastのTwitterカスタマーサービスチーム

 フランク氏が管理しているメインのアカウントであるcomcastcaresは1日当たり平均32回のツイートがあり、ほぼすべてが個別顧客に対応するものだ。9人の部下も、このアカウント以外の個別のアカウントを持ち、Comcastへの不満を全員で見つけようとしている。

 彼らは公式アカウントに直接質問する利用者だけでなく、Comcastに対する不満を抱えているTwitterユーザーも常時検索し、それらの人にすぐさま問い掛ける体制を敷いている。Comcastの顧客サポートは利用者からは必ずしも良い評判ではないが、Twitterを経由したサポートは別格だと絶賛されている。

 企業がこのような監視を行う場合は、無料ツール「monitter」が便利だ。指定した3つのキーワードを含むツイートを常時監視できるようになる。

MicrosoftHelps

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 「MicrosoftHelps」は、Windows 7に関連する質問への対応を目的としたTwitterアカウントだ。専門の担当者4人が、3000人強のフォロワーからの質問の一部に対応している。10月15日に運用を開始し、1日当たり平均24回のツイートがある。そのほぼすべてが個別の顧客に対応する内容だ。

 個別の対応は無償では受け付けなかった以前のMicrosoftから大きく発展した顧客サポートだが、Microsoftが運営する公式アカウントの多くは、個別の顧客に対して非常にていねいな対応をしている。この点においては、顧客対応をしない米Googleや米Appleのアカウントとは一線を画している。

顧客サポート・アカウントの効果測定方法

 顧客サポートのアカウントの効果測定は以下の項目から算定できる。

投資:フォロワー獲得の広告宣伝費 + アカウント運用の人件費

効果1:個別のツイートを分析し、販売機会損失や解約防止の金額を測定する

効果2:顧客満足度を定期的に調査し、期間効果を継続的に分析する

効果3:ブランドイメージを定期的に調査し、期間効果を継続的に分析する


 これらの効果は広い範囲に及び数値化も単純ではないため、効果測定が難しい。正しく効果を測定することで期待できる効果は、(1)短期的には販売機会損失の防止、解約の防止、(2)中期的には顧客満足度の向上、(3)長期的にはブランドイメージの向上――の3点が挙がる。

電話、メール、チャットとTwitterの違い

 企業は顧客サポートを行う主なチャネルは、電話、電子メール、チャットがある。ではこれらと比べてTwitterはどういった点で特徴があるのか。それをまとめたのが次の表だ。

- 顧客満足 顧客カバー 対話効率 対話姿勢のアピール システムコスト オペレーターコスト
電話 × ×
電子メール × × ×
チャット
Twitter ×

主要な顧客コンタクトチャネルの比較表(出典:書籍『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』より引用)

 これらの特性や普及率からも分かるとおり、現時点ではTwitterが電話や電子メールを代替するものにはなりえない。だが、顧客対話の姿勢をアピールするには最適なツールである。顧客満足度やブランドイメージの向上に一役買う媒体といえよう。

 Twitterを使って顧客満足度やブランドイメージを調べる無料ツールもある。顧客満足度調査では、ネット上でアンケート調査を実施し、結果をリアルタイムにグラフ化してくれるツール「Twtpoll」が有効だ。さまざまな投票形式に対応しているほか、ツイートで質問し、結果を非公開にするといった調査方法を採ることも可能だ。

 ブランドイメージの測定には、「Tweet Sentiments」というツールが使える。これはツイートした内容がポジティブ/ネガティブのどちらに当てはまるかを判断する無料サービスで、日本語にも対応している。判断のロジックはOpenAmplifyというテキストマイニングのベンチャー企業が提供している。日本語のツイートの精度は実験して調べてみる必要はあるが、リアルタイムに簡易的なブランドイメージ調査ができるのは画期的なことだ。海外進出しているブランドは、英語版のツイートのポジティブ/ネガティブを判断する「Tweetfeel」や「Twitrratr」を取り入れるといいだろう。


 本稿では定量的に計測しやすい効果測定を中心に取り上げた。だが、Twitterの真価は人と人とをつなぐ部分の定性的な効果にある。今から10年ほど前、電子メールの社内導入についてメリットやデメリットが盛んに論じられたが、その無意味さは歴史が証明した。電子メールが業務効率を向上させたように、Twitterをはじめとするソーシャルメディアは、企業と顧客の信頼関係を強化させるだろう。Twitterを活用したマーケティングでは、数字で表せない効果までがもたらされることを感じていただければ幸いだ。

記事で紹介したTwitterアカウントをリストとしてまとめた「toru_saito/twitter-best-practice」も参照していただきたい。


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著者プロフィール:斉藤徹(さいとうとおる)

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ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長。慶應義塾大学理工学部卒。日本IBMを経て、フレックスファームを創業。2004年に持株を売却し、2005年からはループス・コミュニケーションズを第二創業。SNSやシステム構築運用に加え、TwitterやFacebook、mixiアプリなどのソーシャルメディアを活用するノウハウを企業向けに提供している。ITmedia オルテナティブ・ブログでは『ソーシャルメディア。マーケティングにどう活用するか?』を執筆している。10月16日に新著『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』を出版。


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