大手広告主の4割が既に開始、今すぐ動画広告を始めるべき理由:【連載】サイバーエージェント流動画広告入門 第1回(1/2 ページ)
本連載では動画広告に興味のあるマーケティング担当者に、導入のメリットや具体的な始め方、取り組むべき課題など、要点を絞って解説。「上司を説得するための知識を得たい」といったニーズにも応えます。
サイバーエージェント オンラインビデオ総研の酒井です。本連載では、急成長するWeb動画広告について、市場概況の把握からKPI設計の考え方、新しい配信手法やクリエイティブ制作のトレンド、今後の課題まで、簡潔に解説していきたいと思います。全4回分を読んでいただければ、動画広告の概要はつかめるのではないかと思います。
動画についてこれから学ぼうという方は1つの情報源として、ある程度詳しい方は知識の整理にお役立ていただければと思います。また、新しい取り組みになかなか首を縦に振ってくれない上司を説得するための「ネタ帳」としてもご活用いただけるかもしれません。
それでは早速始めましょう。第1回目は、「Web動画広告の市場概況」について解説します。
市場概況、Web動画広告市場は2020年に2000億円規模へ
サイバーエージェント オンラインビデオ総研は2015年10月27日、Web動画広告市場の最新予測を発表しました。それによると、2015年の国内動画広告市場は506億円、前年比160%の高い成長率を見せています。このまま順調に成長が続けば、2020年には2000億円を突破すると思われます。「2000億円市場」というと、雑誌広告(約2500億円)よりやや少なく交通広告(約2054億円)と同程度という規模感。ラジオ(約1272億円)や衛星放送(約1217億円)よりも大きな市場となる予測です(※)。
※カッコ内の数字は電通「日本の広告費2014」より。
スマホシフトが進み2016年にはモバイルがPCを上回る
各数値を見ていると、モバイル系(主にスマートフォン/スマホ)が急速な成長率であることが分かります。2016年にはスマホがPCを追い抜くと予測。既にアクセス・トラフィックは、主要メディアではPC経由よりもスマホ経由のアクセスが圧倒的に伸びています。アクセス増はそのまま「在庫」すなわち広告の配信先となります。在庫に合わせて広告の売り上げも増えると思えば、自然な流れといえるでしょう。
特にティーンを中心とした若年層のスマホ利用率は高く、(Wi-Fi環境下が多いようですが)スマホ経由の動画視聴は、一般的な習慣となっています。若年層はPCよりもスマホの方が優勢で、われわれの進めている取材の感触では、「プライベートではPCを持ってない」という人も結構いるように思えます。とはいえ、30代以降の世代においてはまだ相変わらずPC経由の接触も多いようです。現状ではリーチさせたいターゲット年代に合わせて露出先デバイス選定を行うのが正解といえそうです。ただ、変化の激しい状況なので、最新の調査には常に目を通していた方がよいと思います。
インストリーム枠が中心だがアウトストリーム枠も増加中
Web動画広告の「種類」については、「インストリーム広告(動画素材の直前や途中に広告が挟まれるスタイル)」が主流です。これは「YouTube」や「GyaO!」でよく見かける広告枠で、現状では動画広告全体の約7割を占めています。動画メディアへのアクセス・トラフィックの増加に合わせて成長していく広告枠なので、当分の間は順調に増加していくと思いますが、いずれかのタイミングで在庫の「天井」が見えてくる枠でもあります。
それに対して、インフィード広告(「Facebook」や「Twitter」などのタイムライン上に流れてくる広告枠)やインバナー広告(静止画バナー枠に動画配信する広告枠)などの「アウトストリーム広告」は在庫が膨大なので、インストリームに遅れるものの伸びていく可能性が高いといえます。2015年にインフィード広告の成長が著しかったのは、枠の整備が進んだことが大きいと思います。今後、メディア側の最適化が進めば、もっと成長していくだろうと考えています。
Web動画広告を出稿している広告主は約4割
大手広告主(広告予算が多い企業)に対する調査を行ったところ、現時点でWeb動画広告を出稿している企業の比率は、全体の約4割といったところです。様子見している広告主も多いと思いますので(はなはだ個人的な見解ですが)もう少し伸び続けるだろうと思っています。仮に、前年同様の成長率を維持したら、2016年は7〜8割の企業がWeb動画広告を出稿していることになりそうです。
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