期待の新星「ChatGPT広告」 しかし“広告だけで効果が出る”とは言い切れない、そのワケは?:電通デジタルに取材(2/2 ページ)
2026年6月から「ChatGPT広告」が日本でもスタートした。ChatGPT広告は、検索連動型広告やSNS広告といった従来の運用型広告と何が違い、どんな効果を期待できるのか。また、GEO(生成エンジン最適化)とChatGPT広告はどう使い分け、組み合わせていくべきなのか。
ChatGPT広告だけでは足りないワケ 組み合わせが重要に
このように、ChatGPT広告では、従来の検索連動型広告で行われていたような「特定のキーワードに出稿して“刈り取る”」という表面的なテクニックは通用しない。「ユーザーがどんな背景や悩みを持ち、どのような場面で自社の商品・サービスを必要としているのか」といったペルソナやカスタマージャーニーを深く理解し、言語化してAIに伝える(コンテキストヒントに落とし込む)ことが求められるようになった。その意味で「ChatGPT広告への出稿は、ユーザーの課題解決に向けた戦略を再考する機会になる」と齊藤氏は指摘する。
その一方で、これまでのように狙いたいターゲットを直接的に狙えなくなり、広告運用の難易度が上がったのも、また事実である。ChatGPT広告を出稿しても、AIの判断によって必ず表示されるとは限らない。また、AIの回答で競合他社ばかりがオススメされていたら、広告効果(訴求力)が弱まるリスクもある。
例えば、あなたはCホテルのオーナーで、ChatGPT広告を出稿していたとしよう。あるユーザーが「◯◯県に旅行に行きたいので、オススメの宿泊先を教えてください」とChatGPTにお願いした。すると「AホテルやB旅館がオススメです」というAIの回答の下に、あなたが出稿したCホテルの広告が出てきた。このとき、ユーザーはどう思うか。AIはAホテルやB旅館がオススメだと言っているのだから、Cホテルには目もくれないのではないか。
逆に、AIが「Cホテルがオススメです」と回答し、その下にCホテルの広告が表示されていたら、どうか。ユーザーは「きっとAIがオススメのリンクを貼ってくれたんだ」と理解し、CホテルのWebサイトを訪れてくれる可能性がある。
つまり、AIの回答で推奨されていなければ、いくら広告を出稿しても、十分な効果を出すことはできない。従来の運用型広告のように、出稿すればするほど(コストをかければかけるほど)、露出を増やせるような単純なものではないのである。
そこで重要になってくるのが、GEOだ。GEOとは、ユーザーの質問に対する回答の中で、いかに「自社の商品・サービス名、ブランド名などを含ませるか」、あるいは「回答の引用元として自社サイトを取り上げさせるか」という観点で、AIによる言及を増やす手法を指す。
具体的な対策方法について、電通デジタルのデータ&AIソリューションセンターAIイノベーション事業部 地元昇太氏は以下のように語る。
「これまで人間向けのデザイン(UI/UXなど)を優先して、テキストが画像内に埋め込まれているようなWebサイトでは、AIがクロールしやすいよう、コンテンツの見直しを図る。『robots.txt』や『llms.txt』といった検索エンジンやAI向けのファイルを組み込むことも、その一つだ。また、これまで情緒的な訴求が中心だった企業では、AIが重視する機能や根拠の訴求を強めるために、ブランド価値を再定義することもある。さらに、価格や機能で比較・検討されやすい商材の場合は、第三者メディアとのタイアップを検討することもある。オウンドメディア(内)と第三者メディア(外)の両軸で対策を講じていく」(電通デジタル 地元氏)
とはいえ、冒頭でも言及した通り、GEOには絶対的な正解がない。GEOが機能して、ユーザーに自社の商品・サービスやブランドを推奨してくれるかどうかは「神のみぞ知る」ならぬ「AIのみぞ知る」のである。
「だからこそ、GEOとChatGPT広告はどちらか一方だけを行えば良いというものではない。双方からのアプローチをうまく連携させることが重要だ」(齊藤氏)
これから始まる、広告とオーガニックの両輪で挑むAI対策
電通デジタル プラットフォーム部門 村木明翔氏は言う。「ChatGPT広告は、AIからの推奨と人間に向けた広告が同居している特殊な場。ピンポイントで当てにいけるメディアではない」
このように不確定要素が多いChatGPT広告を実際に出稿した企業の評価は、二分しているという。これまでにない新たなコミュニケーションの場として、既存の他媒体と同等もしくはそれ以上の広告効果を期待していたにもかかわらず、ChatGPT広告ならではの性質に苦しめられるケースも一定数あるからだ。
「ChatGPT広告ではAIの回答を踏まえたコミュニケーションを取らなければならず『ChatGPT広告単体でどうにかできる場ではない』というのが現状の課題感だ」と語る齊藤氏。
AI空間において、広告とGEOのどちらでアプローチしていくのか。どちらも必要だとして、投資バランスをどうしていくのかは、まだまだこれから模索していく必要がありそうだ。
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