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米Google幹部を直撃 年間「5兆回超」の検索は、AIでどう変わるか?

Google検索は、年間5兆回以上も使われている。AIにより「検索」が日々大きく変化している中、プラットフォーマーであるGoogleは今の状況をどのように見ているのか、話を聞いた。

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 皆さんは、Google検索が年間何回使われているか知っているだろうか? なんと、毎年5兆回を超える──。

 生活者にとってすっかり身近なものとなった「検索」だが、生成AIの進化により大きな転換点を迎えている。検索をすると一番上に「AIによる概要」(AI Overview)が表示されるようになり、各Webサイトを開かなくても必要な情報を得られることが当たり前になった。

 また、Googleは5月、新機能「AIモード」を発表し、Gemini2.5を活用した会話型の深掘り検索の提供を米国で開始。ユーザーは検索を「テキスト」ではなく、音声や画像、動画でもできるようになった。

参考:AIは“ググる”を終わらせる? Google検索の大変革期に何をすべきか

 「検索は単なる情報収集の枠に収まらず、生活者の知性を刺激する体験に変わる」──こう話すのは、米Google Brendon Kraham氏(Search&Commerce Global Ads Solution部門 バイスプレジデント)。

 「検索」が日々大きく変化している中、プラットフォーマーであるGoogleは今の状況をどのように見ているのか、話を聞いた。

年間5兆回の検索、AIでどう変わる? Googleが重視する「3つの軸」

 Googleでは年間5兆回を超える検索が行われており、その数は年々増加している。

 Brendon Kraham氏は「Googleの新しいテクノロジーは今後、生活者とビジネスの接点や関係性を変革していく」と、同社のAI機能について自信を見せる。


米GoogleのバイスプレジデントBrendon Kraham氏に話を聞いた(7月24日メディアラウンドテーブルで撮影)

 GoogleのAI機能は大きく3つの軸に分けられる。

 1つ目は「AIによる発見」だ。Geminiの高度な推論能力で、生活者が検索時に複雑な質問をしてきても対応できるようになった。AIは複雑な問いをサブトピックに分解。サブトピックごとに検索をし、適切な回答を表示するという。

 検索時はユーザーから明確に「〇〇を買いたい」という意思が読み取れない場合でも、AIは検索の中で意図をくみ取り、言語化されていなかった購買意欲を掻き立てることができると、同社は説明する。

 「例えばユーザーが『小型犬を飛行機に乗せる方法』と検索したとしましょう。AIはユーザーの問いを分解し、航空会社の規定ポリシーなど、事実ベースの回答を生成します。同時に、もしかしたら潜在的な購買ニーズがあるかもしれないと考え、例えば航空会社のポリシーに合ったペットキャリーの情報を出す。そうすると、適切なタイミングで適切な広告を表示できるというわけです」

 2つ目は「マルチモーダルな理解」。検索の方法が、テキストだけではなく音声や画像、動画など、検索の仕方が今後さらに多様化すると考えられる。「AIモードの初期テスターでは、これまでと比較して2〜3倍長いワードで検索されている」(Brendon Kraham氏)とし、「何を知りたいかだけでなく、なぜ検索しているのかも理解できるようになる」と説明した。

 3つ目は「エージェント型AIによる自律的なアクション」だ。

 エージェント型AIの活用により、マーケターは今後より少ない労力でより大きな効果を得られるようになると期待を寄せる。

 同社は現在、Google AdsとGoogle Analyticsでエージェント型AIの機能を順次開始する方針。キャンペーンの構築から実行、最適化までの作業を大幅に効率化できる見込みだ。

 その他、AIを活用した高度なバーチャル試着機能や、AIが購入手続きを代行してくれる「Search Labs」(米国でのみ試験提供中)も展開しており、今後さらなる強化を図る方針だ。

AI時代のSEO「LLMO」に対するGoogleの見解は?

 生活者は、Google上で1日に10億回のショッピングをしているという。その多くが、あらかじめ商品について調べてから購入に至っており、検索体験が購買行動に与える影響は大きいといえる。

 最近は、Google検索の上部に表示されるAI Overview(以下、AIO)で自社のサイトを表示させようとする動きも広がっており、新時代のSEO対策として注目を集めている。「LLMO」(Large Language Model Optimization)と呼ばれることが多く、多くのマーケターが関心を寄せる。

 「AIOは今後、検索におけるコアになると考えています。5兆件の検索の中には、AIOを強化したほうが良いものもあれば、そうでないものもあります。ユーザーに対して何を提供するのが検索体験向上という観点で最も効果的かを見極めることになります。今当社が持っているGemini、AI技術、Google検索を掛け合わせることによって、検索体験の満足度を高められると考えています。それがひいては、広告主のチャンスにつながると考えています」

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