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AIは“ググる”を終わらせる? Google検索の大変革期に何をすべきか(1/2 ページ)

米Googleが提供する「AIモード」が話題。

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田中雄太

デジタルアイデンティティ SEOエヴァンジェリスト、コンサルタント

SEO集客からの売り上げ・問い合わせ増加など、セールスファネル全体のコンサルティングを専門としている。


 2025年5月20日(現地時間)、米Googleは「Google I/O 2025」にて、検索体験を刷新する新機能「AIモード」を正式に発表し、その後に米国内で展開されました。日本への上陸は未定ですが、今までの傾向からするとおおむね1年以内には日本でもAIモードが日常的に見られるようになる可能性が高いでしょう。

 2025年3月のGoogleコアアップデートを境に普段私たちが使っているGoogle検索にもAI検索(AI Overvews)の表示が大幅に増えている今、なぜGoogleはこれほどまでに急速に「脱ググる」を推し進めるのでしょうか。

 本記事では、先行して実装された米国への影響や、日本で実装後に予測される動き、また新検索体験「AIモード」に対してビジネスパーソンはどう向き合うべきかを解説します。

AIモードで“ググる”が終わる? Google検索に起きた革命

 米国では5月20日以降、「AIモード」タブが一般提供開始され、Gemini2.5を活用した会話型の深堀り検索が可能になりました。これにより、ユーザーは複雑な質問の追及やフォローアップがスムーズになり、画像や音声入力が活用できたり、さらに高度なデータ分析やチャート生成、ショッピング支援機能も搭載されたり、検索体験が進化中です 。

 一方で、ニュース業界や中小事業者で反発が起きています。News/Media Alliance(米大手出版業界団体) はGoogleの「AIモード」について、「Thefts」(窃盗)と非難し、トラフィックや収益を奪っていると強く批判しています。また、Wall Street Journalの報道では、ニューヨークタイムズの検索経由のトラフィックが44%から36.5%へ減少。Business Insiderでは55%減など、AI OverviewsやAIモードにより“ブルーリンク”をクリックしないゼロクリックリサーチが増え、出版社へ誘導が激減するなど深刻な影響が報告されています。

 このように、最近の米国ではテクノロジーと既存市場との摩擦が顕在化しており、GoogleのAIモードはその最前線に位置しています。

AIモードの日本上陸で予想されるビジネスへの影響

 日本でのAIモードの実装時期については不明ですが、米国では既に多くの影響が表れているように、AIモードが日本で導入された場合もビジネスへの影響は非常に大きいことが考えられます。

 ベクトルデジタルが運営するWeb広告メディア「キーマケLab」の調査によると、2025年3月以降、「AI Overviews」の影響で自社サイトの自然検索流入が減少したと答えた企業は61.9%に上ります。また、SEO施策のリソース配分を「既に変更した」企業は33.2%、「見直しを始めている」企業は57.8%と、9割以上が戦略の再検討に動いています。検索広告でも72.0%が影響を受けており、66.7%が「広告の表示回数やクリック数の減少」を実感しています。


(写真はイメージ、ゲッティイメージズ)

 つまり、AI Overviewsで既に表れているような日本の検索市場の変化がAIモードの日本上陸によってさらに加速することが予想され、マーケット全体で情報流通の構造の変化や、検索を起点とした消費者行動や広告・集客の在り方が根本的に変化することが考えられます。

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