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在任期間は短くても将来は明るい? データが示すCMO職のさらなる出世の可能性Marketing Dive

CMOの約3分の2はポジションを離れた後、社内で昇進するか、他のブランドで同等またはより高い役職に就いている。つまり……。

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 コンサルティング会社Spencer Stuartの新たな調査によると、2024年におけるFortune 500企業のCMO(最高マーケティング責任者)の平均在任期間は4.3年となり、わずかに上昇傾向を示した。この数字は、経営幹部層の平均在任期間4.9年を下回っており、同社の過去の調査結果と一致している。マーケティング責任者の在任期間は、近年大きな政治的圧力を受けているCSO(最高サステナビリティー責任者)やCDO(最高ダイバーシティ責任者)よりは長い傾向にある。

CMOはCEOへの登竜門 スタバやGEでは……

 2024年において、CMOの在任期間は比較的安定していたものの、依然として他の経営幹部層と比べて短い傾向にあった。Spencer Stuartのレポート(外部リンク/英語)はマーケティング職の流動性の高さを示すデータとして引用されることが多いが、同社は在任期間の短さが必ずしもネガティブな要因によるものではなく、昇進などのポジティブな要因によっても引き起こされる可能性があると指摘している。同レポートによると、分析対象となったFortune 500企業のCEOのうち37%がマーケティングのバックグラウンドを持っていることが判明した。

 CMOの座を離れることは悪いこととは限らないようだ。Spencer Stuartによれば、CMO職を離れた人の65%が社内で昇進するか、他社で同等またはより上位の職に就いている。また、離職したCMOのうち10%はCEOに就任している。

 CMOからCEOへの昇格は、2023年にいくつかの注目すべき事例として現れた。Starbucks Coffeeのグローバルマーケティング責任者であったブレイディ・ブリュワー氏は2023年4月に同社の国際事業部門のCEOに任命された。また、General ElectricのCMOを務めたリンダ・ボフ氏は、夏にクリエイティブエージェンシーのSaid Differentlyのトップに就任した。一方で、一部のブランドは新たなマーケティング職のタイトルを導入しており、Starbucks Coffeeは2023年10月に初のグローバルチーフブランドオフィサーを採用し、事実上ブリュワー氏の以前の職務を引き継ぐ形となった。

 Spencer Stuartによると、2024年にFortune 500企業の3分の2(66%)が経営幹部層にマーケティングリーダー職を置いており、これは前年から8ポイントの減少となった。在任期間のデータと同様に、この減少がマーケティングの重要性の低下を意味するわけではないと同社は指摘している。この傾向は、より多くのブランドがハイブリッド型の組織構造を採用したり、地域ごとにマーケティング責任者を配置したりしていることを示唆している可能性がある。業界別では、テクノロジー、メディア、通信企業におけるマーケティングリーダーの数が昨年減少した一方で、消費財(CPG)業界では3ポイントの増加が見られた。

 マーケティングリーダーの中には、複数の役職を兼務するケースも多く、16%が最高マーケティングコミュニケーション責任者(Chief Marketing and Communications Officer)のような肩書きを持っている。また、一部の幹部は、公式な肩書きに「Chief」を含まない(例:マーケティング担当シニアバイスプレジデント)ものの、実質的にCMOの役割を果たしている。このような肩書きの組み合わせや、近年増加している「マーケティング」という言葉を含まない役職、例えば最高成長責任者(Chief Growth Officer)や最高商務責任者(Chief Commercial Officer)などは、企業がマーケティングをより直接的に収益向上へ結びつける方向へ調整していることを示していると、Spencer Stuartは分析している。

 同レポートは、「次世代のリーダーを見据えると、企業は特定の分野での成長にとどまらず、多領域にわたる幅広い専門知識を持つ人材を求めるようになるだろう」と指摘している。

 CMOの属性に関して、Spencer Stuartは2024年の時点で「CMOは正式に『女性中心の職務』となった」と評している。実際、マーケティング責任者の53%を女性が占めており、2020年から12ポイント増加している。しかしながら、多様性の他の指標に関しては停滞が見られる。歴史的に過小評価されてきた人種・民族グループに属するマーケティングリーダーは全体のわずか12%にとどまっている。この分野の進展は、多くの大手ブランドにおいてDEI(多様性、公正性、包括性)に関する取り組みが、政治的圧力の高まりを受けて縮小されつつあることにより、妨げられる可能性がある。

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