テレビCMとSNS広告、どちらが有効? アプリのインストールにつながる施策は……Repro「モバイルアプリのインストール実態調査」を実施

Reproはスマートフォンユーザー1236人を対象に「モバイルアプリのインストール実態調査」を実施した。

» 2025年03月13日 11時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 プライバシー重視の潮流に伴い、いわゆる「シグナルロス」が進行し、広告ターゲティングや効果測定の精度が低下している。それに加え、国内外の大手モバイルアプリ企業による大量出稿も影響してCPI(インストール単価)が高騰し、最適な認知獲得や広告運用のハードルは以前より高まっている。たとえアプリがインストールされても、ユーザーに継続的に利用してもらえるかどうかはまた別問題だ。多種多様なアプリが次々と生み出される中でLTV(顧客生涯価値)を高いレベルに維持するのは簡単ではない。

 こうした難題に対処して最適なマーケティング戦略を立案するにはまず、現状を明らかにすることが重要だ。そこで、モバイルアプリマーケティング支援ツールとサービスを提供するReproは、2025年1月29日から31日にかけて、スマートフォンユーザー1236人を対象に「モバイルアプリのインストール実態調査」を実施した。

どんな「特典」があればインストールする? アプリ選定の実態

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 調査の結果、スマートフォンにインストールされているモバイルアプリの数は、iPhoneでは平均79個、Androidでは平均113.8個であることが判明した(iPhoneはプリインストールアプリを含まない個数)。

インストールされているモバイルアプリの数(出典:Repro「モバイルアプリのインストール実態調査」、以下同)

 直近3カ月以内にインストールしたアプリの数は、全体で見ると「1~2個」が40.8%で最も大きな割合を占めた。性別、年代別の集計からは、男性、若年層の方がインストール数が多いという傾向が見て取れる。

直近3カ月以内にインストールしたアプリの数<全体・性別>
直近3カ月以内にインストールしたアプリの数<年代別>

 アプリの存在を認知するきっかけとして最も多かったのは、「SNS広告・動画広告」であり、「当てはまるものすべて」では39.1%、「最も多くの情報を得ている」では20.6%を占めた。さらに、アプリを12のカテゴリーに分けてインストールのきっかけを調査したところ、「店舗系会員」アプリを除く全カテゴリーで、「SNS広告・動画広告」が3位以内に入った。一方で、認知施策として重宝されてきたテレビCMなどのオフライン広告は下位に沈んだ。

アプリの存在を新しく認知するきっかけ<当てはまるものすべて>
アプリの存在を新しく認知するきっかけ<最も多くの情報を得ている>

 アプリのインストールは基本的にはアプリストアのアプリ詳細ページで行われる。スマートフォンユーザーのアプリ詳細ページへのアクセス方法として最も多かったのは「アプリ名での指名検索」(54.3%)だった。このことから、ユーザーが特定のアプリを明確に認識して検索するケースが多いことが示唆され、ASO(アプリストア最適化)の重要性が改めて浮き彫りになった。

アプリ詳細ページへのアクセス方法<最も多い方法>

 インストールの意思決定にアプリ詳細ページに掲載されている各情報がどの程度の影響を与えるかを聞くと、「評価スコア」「レビューの内容」が「強く影響する」または「やや影響する」と回答したのは全体の80%以上だった。「説明文」も70%以上の人が影響すると回答しており、アプリストアにおける情報提供の重要性が示された。

インストールの意思決定とアプリ詳細ページの情報の関係

 アプリのインストール増大施策として、インセンティブ(特典や報酬)付与は一般的な手法となっている。インセンティブを目的としてアプリをインストールした経験がある人は全体の63.7%だった。

インセンティブを目的としてアプリをインストールした経験

 どのようなインセンティブに魅力を感じるかを複数回答で調査した結果、「電子マネー/現金キャッシュバック」が最も多くの回答を集め67.4%となった。「ポイント」も62.2%で続いており、用途が広いほどインセンティブに魅力を感じる傾向があることが分かった。

インストール時に魅力的だと感じるインセンティブ

 ユーザー獲得施策においては、インストール後の初回起動、2回目以降の継続利用のハードルをいかに越えるかが重要となる。アプリをインストールした後の起動状況について調査したところ、「一度も起動しなかった」経験を持つ人は全体の30.0%、「一度しか起動しなかった」経験を持つ人は51.4%に上った。初回起動を促進する施策が重要であることが分かる。

インストール後の初回起動のハードル

 

 「一度も」起動しなかった経験を持つ371人に、どのようなアプローチがあれば初回起動に繋がるかを尋ねた結果が下のグラフだ。50.1%が「初回起動時にインセンティブを提供する」と回答。初回起動の促進においてもインセンティブが有効に機能することが分かった。

ユーザーに好感を持たれる初回起動促進のアプローチ

 スマートフォンに100以上のアプリが存在することが想定される中で、ユーザーの可処分時間の奪い合いはますます激化している。インストールされても「一度も起動しない」「一度しか起動しない」というケースも少なくない。このような状況を打破し、持続可能な成長を実現するためには、起動や継続を促すためのインセンティブ施策を展開するだけでなく、低コストで効率的な運用体制を構築することが不可欠となる。さらに、ゲーミフィケーションを活用するなど、ユーザー体験を向上させることで、長期的なエンゲージメントを促進することも重要となるだろう。

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