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有料ソーシャルの売りって結局…… YouTubeがお値段控えめの「Premium Lite」提供開始へSocial Media Today

YouTubeが米国で有料サブスクリプションサービス「YouTube Premium」に新たなプランを追加する。既存のプランとどう違うのか。

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 YouTube Premiumの有料会員数が1億2500万人を超える中、YouTubeは「Premium Lite」の提供を拡大し、邪魔なYouTubeの広告をなくしたいユーザー向けに新たな選択肢を用意する(※)。

※編注:本稿掲載時点で日本での提供は未定。

Premium Liteの唯一のメリットはユーザーにとってどれほど魅力的?

 YouTube(外部リンク/英語)は次のように説明している。

本日より、Premium Liteの試験提供を米国のユーザーにも拡大します。Premium Liteは、月額7.99ドルでほとんどのYouTube動画を広告なしで楽しめる、より手頃な新しい方法を提供します。今後数週間以内に、現在パイロットを実施しているタイ、ドイツ、オーストラリアの全ユーザーにもご利用いただけるようになります。


(出典:YouTube公式ブログ「Introducing Premium Lite: Watch your favorite creators ad-free」)

 上の画像に注記されているように、Premium Liteのユーザーでも一部の地域では広告が表示される可能性がある。それでも大半の広告は、このプランに加入することで非表示になる。

 2024年に試験的に導入されたPremium Liteは、YouTubeの広告を削除したいユーザー向けに、より手頃な価格で利用できるオプションを提供する。この「広告なし」という要素は、従来からYouTube Premiumの大きなセールスポイントであり、Premium Liteは他の追加機能を省き、広告を消すことだけに特化したプランとして提供されている。

 月額13.99ドルと、より高価格なYouTube Premium(日本では月額1280円で提供)にはYouTube Musicの利用やバックグラウンド再生の機能も含まれる。一方で、Premium Liteは純粋に「広告が嫌だ」というユーザー向けに、より安価な選択肢を提供する。

 こうしたニーズを持つユーザーは明らかに多いが、現在のYouTubeの中でPremiumサービスに実際に課金しているのはごく一部にすぎないことは注目に値する。

 YouTubeの月間アクティブユーザーは約250万人と報じられているが、これは全ユーザーのうちわずか5%しか有料で利用していないことを意味する。

 有料ソーシャルサブスクリプションは、イーロン・マスク氏が将来的にTwitter(現在のX)の収益の50%をユーザーサブスクリプションから得るという計画を明らかにした2023年に注目された。しかし、マスク氏の戦略は実現していない。その根本的な問題は、歴史的に見ても「無料で利用できるプラットフォームに対して、わざわざお金を払おうとするユーザーはごく少数である」という点にある。

 確かに広告がない方が便利だが、「数ドル節約できるなら、広告くらいがまんする」という考えのユーザーは多いだろう。

 現在の経済状況を考えると、この傾向はさらに強まっている。実際、Xの「Xプレミアム」、Metaの「Meta認証」、Snapchatの「Snapchat+」といった新たな有料サブスクリプションサービスが提供されているが、いずれのプラットフォームにおいても主要な収益源として大きな成功を収めているとは言えない。

 基本的に、必要のないものに対してユーザーにお金を払わせるのは非常に難しいことだ。YouTube Premiumには確かに魅力的な機能を提供しているが、大多数のユーザーは無料のまま使い続けるだろう。

 とはいえ、この取り組みが無意味というわけではない。実際、各プラットフォームはこうしたサブスクリプションから一定の副収入を得ている。ただし、それはあくまで補助的な収益であり、主要な収益源となるレベルにまで成長した例はない。

 いずれにせよ、YouTubeはこの新プランの拡大を通じて、さらに数百万人規模の有料会員を獲得する可能性が高い。今後も有料オプションを強化し、収益の多様化を進めていくとみられる。

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