Googleの広告収益成長が鈍化、中国のアレが原因?:Marketing Dive
YouTubeなどのプラットフォームの成長率は、米国の選挙関連支出の急増にもかかわらず低迷した。一方、生成AI分野では中国発のあのサービスが圧力を強めている。
Googleの持ち株会社であるAlphabetの決算報告によると、Googleの広告収益は2024年第4四半期に前年同期比10.6%増の724億6000万ドルとなった。しかし、この結果は市場予測を下回るものだ。
動画プラットフォームYouTubeの広告収益は13.8%増の104億7000万ドルに達したが、前年同期比で成長率は鈍化した。Googleの最大部門である「検索およびその他」の収益は12.5%増の540億ドルとなり、成長鈍化の影響は比較的小さかった。
Googleの命運を左右するのはこれからの米中関係?
Googleの主要な広告事業の多くが、2024年第4四半期に前年同期と比べて成長率の鈍化を示した。この減速は、YouTubeが米国の選挙関連支出によって大きな追い風を受けたにもかかわらず発生した。2024年の大統領選では、YouTube向けの広告支出が4年前と比較してほぼ倍増し、選挙関連広告が同四半期のブランド広告収益の成長を主導した。
この低調な結果について、Alphabetの最高財務責任者(CFO)であるアナット・アシュケナージ氏はアナリスト向けの説明で、「2023年第4四半期の広告収益の力強い成長の反動があった。特にAPAC地域の小売業者による広告投資が影響した」と述べた。
近年、中国の小売業者であるSheinやTemuがMetaやGoogleのようなデジタルプラットフォームにとって重要な広告主となっている。これらの企業は、新たな米国の消費者を獲得するために積極的に広告費を投入してきた。しかし、これらの企業は今後、規制当局の厳しい監視を受ける可能性があり、さらにドナルド・トランプ大統領が本国への関税を引き上げることで、これまでの勢いが鈍る可能性がある。
検索事業に関して、Googleは生成AIを中心とした変革を最優先事項として進めている。検索体験の中核に「AIによる概要(AI Overviews)」を導入し、この機能のモバイル版にも広告を組み込むことで収益化を加速させている。
また、GoogleはAIを活用してEコマース事業の強化も進めており、これがホリデーシーズンの売り上げ向上に寄与した可能性がある。最高業務責任者(CBO)のフィリップ・シンドラー氏によると、2024年第4四半期のGoogleショッピングの米国における1日当たりのアクティブ訪問者数は、前年同期比で13%増加したという。
Googleの生成AI戦略は、中国の競合企業であるDeepSeekの急速な台頭によって新たな課題に直面している。DeepSeekは、米国のテクノロジー大手と同等の技術力を持ちながら、より低コストで提供できる点を強みとしている。こうした状況の中、Googleは2023年12月に「Gemini 2.0」を発表した。これは、Googleにとって最も高度なAIモデルであり、最高経営責任者(CEO)のサンダー・ピチャイ氏が「エージェント時代を支える技術」と位置づけるものだ。
ピチャイ氏は、「AIが人々の検索クエリの幅をさらに広げる中で、2025年は検索イノベーションにとって最大の年の一つになるだろう」と述べ、他の経営幹部とともにAIの発展が重要な局面を迎えているとの見解を示した。
さらにGoogleは、自社の検索エンジンおよび広告技術をめぐる2つの米国独占禁止法訴訟という存亡の危機にも直面している。2023年11月、米司法省はGoogleに対し、同社のWebブラウザ「Chrome」を売却するよう勧告した。この決定が実行されれば、広告業界全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。
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