生成AIの利用、学生は全体の3倍以上 使い道は?:インテージが複合的調査を実施
インテージは、生成AIの利用実態を明らかにするための複合的調査を実施し、結果を公表した。
インテージは、消費者によるメディア接触状況に関するデータや生活者およびビジネスパーソンを対象にしたアンケートなどの自社が保有するデータを活用し、生成AIの利用実態を明らかにするための複合的調査を実施し、結果を公表した。
同社のメディアログデータ「i-SSP」の集計結果によると、2024年9月の時点で、一般生活者がPCのWebブラウザ経由で生成AIサービスを利用した比率は月間で8.6%だった。
学生の生成AI利用は全体を大きく上回る その理由は?
生成AIの利用率は、OpenAIが提供する対話型の生成AIサービス「ChatGPT」が登場した直後の2022年11月から上昇し始めた。2023年春には5%を超えた。その後1年間ほどは伸び悩んだが、2024年4月から再び上昇傾向を示している。ただし、利用率は伸び続けてはいるものの、依然として1割に満たないのが実情だ。生成AIという単語の認知は広がる一方、日常やビジネスシーンでの利用は浸透していないことがうかがえる。
利用率に関して全体と学生を比較したところ、学生の利用率は2022年の12月の集計当初から比較的高い水準で推移しており、2024年7月には、全体の7%前後の水準に対して学生が26.7%と3倍以上の差を付けた。特にテストやレポート提出時期である1月と7月に増加し、3月や9月の長期休暇期間は利用率が下がる傾向が見える。ただし、減少した2024年9月でも前年同月比8.8%増の19.1%となり、学業以外でも日常的に生成AIを利用していることが分かった。
利用実態をさらに分析するため、生活者2万人を対象に日常生活での生成AI利用に関するアンケート調査を実施した。結果は、学生のおよそ半数に当たる47.8%が生成AIを利用。i-SSPデータの集計結果と同様に、アンケートでも学生による生成AIの積極的な活用状況が明らかとなった。一方、生活者全体に目を向けると、生成AIという単語自体の認知度は学生と大差ないものの、利用経験においては学生と比べて大幅に少ない実態が見えた。
生活者への調査と並行して、2万人のビジネスパーソンを対象に、生成AIのビジネスへの活用状況に関する調査も実施した。それによると、現在の生成AIの導入状況について、6割以上が「導入の予定もない」と回答している。日常生活と同様に、ビジネスの現場でも生成AIの利用は限定的だと言える。また、導入の進み具合に大差はないものの、「会社・組織全体」「所属部署」「個人の業務」という順に導入の進行度が高いことから、個人よりも組織が主導して導入が進行していることがうかがえる。
上記の業務における導入状況を基に、勤め先の従業員数と職位のセグメントごとに比較を行った。その結果、企業規模が大きいほど、あるいは上位の役職者ほど、生成AIの活用に積極的であることが分かった。
今後の生成AIに関する展望においても、職位間で差が出た。生成AIを導入しているビジネスパーソンに対し「あなたの業務が今後どれだけ生成AIに置き換えられると思うか」を尋ねたところ置換度合を「大・極大」と予想する回答は少数にとどまったが、「極小」と予想したビジネスパーソンの割合は職位が高いほど大きく減少した。職位の高いビジネスパーソンでは、生成AIの能力や将来性を深く理解し、自身の意思決定をサポートするツールとして有効活用できる可能性を認識していることが背景にあると考えられる。
全体的に利用が進んでいない一方で使いどころをつかんだ人たちの間では積極的に使われている生成AI。企業や開発者はニーズに合わせたサービスや情報の提供を行う必要がありそうだと、インテージはまとめている
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