生成AIが投資をけん引 2025年度の国内企業のIT予算は「増額」が過去最多に:ITR「IT投資動向調査2025」
生成AIの急速な普及により、企業のDX投資は新たな局面を迎えているようだ。
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、、2024年8月から9月にかけて国内企業を対象に実施したIT投資動向調査の結果をまとめたレポート「国内IT投資動向調査報告書2025」を発売し、その内容の一部を公開した。
今回調査対象となったのはITRの顧客企業およびITR保有の独自Webパネルのうち、国内企業に所属し、IT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者で、2374件の有効回答を得た。今回は、DXやAI関連予算の策定状況や、DX施策の推進状況およびAI活用の業務・用途についても調査している。
生成AIへの投資意欲は新規、追加いずれも高い
2024年度(2024年4月〜2025年3月)のIT予算額は、前年度から「増額」したとする企業が44%となり、2023年度と同じ割合を維持した。2025年度は「増額」を見込む企業が1ポイント増の45%となり、2001年の調査開始以来の最高値となることが予想される。
IT予算額の増減を指数化した「IT投資インデックス(※)」は、2024年度(実績値)は3.81で4年連続の上昇となり、2006年度の過去最高値(3.88)に次ぐ高い値となった。また、2025年度は、10%未満の比較的小幅な増額を見込む企業が増えることから、IT投資インデックスはわずかに下降するとみられる。
※IT予算の前年度比の増減が「20%以上の増加」を+20、「10%から20%未満の増加」を+15、「10%未満の増加」を+5、「横ばい」を0、「10%未満の減少」を−5、「10%から20%未満の減少」を−15、「20%以上の減少」を−20、として積み上げて回答数で除した値(2016年度以降)。2015年度以前の値は、調査時の設問の選択肢が異なったため、「20%以上の増加」を+20、「20%未満の増加」を+10、「横ばい」を0、「20%未満の減少」を−10、「20%以上の減少」を−20、として同様に算出。
DX(デジタルトランスフォーメーション)関連予算およびAI関連予算の計上状況を調査したところ、DX関連は82%、AI関連は70%の企業が各予算を計上していることが分かった。これらの予算の全部または一部をIT予算に計上している企業は、DX関連が56%、AI関連が46%と、いずれも半数前後に上っており、IT予算が増加基調にある一因になっていると考えられる。
企業ITに関わる全110項目の製品・サービスを対象に、現在の導入状況と今後の投資計画について調査した結果を基に、2025年度に新規で導入する可能性を「新規導入可能性」、導入済み企業での2025年度の投資額の増減予定を「投資増減指数」として算出し、動向を分析した。その結果、2025年度の新規導入可能性は「生成AI」が1位、「AI/機械学習プラットフォーム」が2位となり、前年調査の1位と2位が入れ替わる結果となった。また、投資増減指数も同じく「生成AI」が1位、「AI/機械学習プラットフォーム」が2位となった。
このAI分野への注目と投資意欲の高まりを背景に、新規導入可能性で「チャットボット/チャットサポート」が3位、「音声認識」が10位でランクインした。「画像認識」は、投資増減指数を前年調査の10位から2025年度は4位へ順位を上げた。新規導入可能性では「iPaaS/API管理ツール」が4位、投資増減指数では「ローコード/ノーコード開発」が3位へ浮上し、AI機能を組み込んだ業務アプリケーションの開発ニーズが拡大していると推察される。
ITRのプリンシパル・アナリストである三浦竜樹氏は今回の調査結果を受け、「企業は、AIなどの先端技術を採用したIT製品・サービスへの投資とともに、先端技術を活用したDX推進の人材の採用と育成、そのための適切な予算確保を行うことで、デジタル技術によるイノベーションの成果をあげていくことが求められます」とコメントしている。
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