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トランプ氏圧勝で気になる「TikTok禁止法」の行方Social Media Today

米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利した。これにより、TikTokの米国での将来は保証されるのだろうか。

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 ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰し、米大統領として2期目を務めることになった。これは、TikTok売却法案が撤回され、TikTokが米国で活動を続けられることを意味するのだろうか。

そもそも「TikTok禁止」を最初に言い出したのは誰かというと……

 トランプ氏は選挙活動中、大統領に返り咲いたら「TikTokを救う」(外部リンク/英語)と繰り返し宣言し、自身がこのアプリで「大スター」になったことにも言及した。トランプ氏はこれを若い有権者へのアピールを高める手段として使い、より多くの票を獲得するのに役立ったかもしれない。しかし実際、トランプ氏がこのプラットフォームを実際に活動させ続けたいのであれば、いくつかの厳しい決断を迫られる可能性がある。

 一応言っておくと、現在の法案はTikTokを米国で完全に禁止するものではない。しかし、米国で引き続きサービスを提供したいのであれば、TikTokは米国籍の企業に売却されることになる。中国政府は売却法案に反対すると公言しており、TikTokを強制的に米国所有にしようとするいかなる試みにも反対すると言っている。これにより、TikTokは結局米国から消えることになるかもしれない。だが、厳密に言うと、「TikTok禁止」ではない。

 それでもトランプ氏は、TikTok売却をめぐる論争を選挙戦略の一つとして活用してきたわけであり、彼が今後この法案を実際に撤回するかどうかが注目される。だが、この法案は既に上院で承認されているものである。

 もちろん、トランプ氏が大統領に就任すれば、この法案を覆す力を持つことになる。一方で、上院の意思を覆すことには政治的なリスクが伴う可能性があり、実際に法案撤廃に踏み切るかどうかは不透明である。

 それでも、トランプ氏の勝利はTikTokの経営陣にとって朗報であったに違いない。TikTokはこの法案に反対して米国政府に対し高額な法的措置を取っているが、重要な米国市場に残れる道筋は一段と明るくなった。だがしかし……。

 ここで思い出してほしいのは、そもそも2020年にTikTokの禁止を最初に提案したのはトランプ氏自身であるということだ。もっとも、その当時の動機は現在のサイバーセキュリティへの懸念とは異なるものだったのだが。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生を中国の責任だと主張したトランプ氏は、当時の大統領として、報復にTikTokを禁止すると宣言していたのである。

 つまり、トランプ氏が懸念していたのは中国共産党(CCP)による潜在的なスパイ行為や影響操作ではなく、より個人的な動機からアプリを攻撃していたということである。

 しかし今ではその怒りも解けたようで、トランプ氏自身が若年層の有権者とつながるための手段としてTikTokを利用していることから、TikTokに対する個人的な評価は改善したようだ。

 本当のところトランプ氏がこのプラットフォームについてどう考えているのか、そして上院を説得したサイバーセキュリティの専門家がトランプ氏の意見に影響を与えることができるのかどうか、現時点ではっきりとは分からない。

 恐らく大統領交代に伴う引き継ぎの際、トランプ氏もまたTikTok禁止を維持するよう説得されるだろう。しかし、いずれにせよ、TikTokの国内存続を巡って、TikTokの経営陣やロビイストたちには新たなチャンスが到来したことになる。

 トランプが実際に再び大統領に就任するまでにはまだ時間があるが、TikTokの将来には突如として明るい展望が見え始めている。

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