インバウンド消費を左右する在日中国人の影響力:約85%が直近1年間に日本国内のアテンド経験あり
アライドアーキテクツは、独自に構築した在日中国人コミュニティーを対象に、在日中国人とインバウンド観光客の関連などに関するSNS利用実態を調査した。
アライドアーキテクツは、同社が運営する日本最大級の在日中国人コミュニティー「BoJapan」のメンバーが5000人を突破したことから、在日中国人とインバウンド観光客の関連や在日中国人の最新のSNS利用実態を調査するためアンケートを実施した。
約85%が直近1年以内に訪日中国人を日本国内で案内
日本政府観光局(JNTO)によると、2024年9月における訪日外客数は287万2200人。前年同月比31.5%増、コロナ前の2019年同月比でも26.4%増となり、8カ月連続で同月過去最高を記録している。中国からの訪日客数は韓国に次ぐ2位だが、安定的に高い水準を維持しており、春節も控えていることから、今後もさらにインバウンド需要の増加が期待される。
今回の調査はBoJapanメンバーである在日中国人500人を対象に実施。インバウンド観光客となり得る中国本土の家族や友人、知人との情報伝達の状況や主要なSNSの利用実態を聞いた。
中国にいる家族、友人、知人から日本への旅行に関して質問や相談をされたことがあるかを聞いたところ、回答のあった在日中国人500人全員が「ある」と回答した。中国からの訪日客の日本への旅行において、在日中国人が情報の架け橋として重要な役割を果たしていることが分かる。
中国にいる家族、友人、知人から日本への旅行に関して質問や相談をされた経験が「ある」は100%(出典:アライドアーキテクツ「在日中国人のインバウンド観光客へ与える影響とSNS利用実態調査調査」、以下同)
また、回答者の約85%が、直近1年間に日本国内での旅行を案内した経験があり、在日中国人の情報伝達がインバウンド観光客の訪問先に影響を与えていることが見えてきた。
直近1年間のアテンド経験の有無にかかわらず、実際に行ったアテンド先およびアテンドすることになった場合のアテンド先候補を聞いたところ、「百貨店」と「ドラッグストア」が同率首位の80.8%、「商業施設(パルコなど)」が63.2%となった。かつての「爆買い」からは変化したものの、依然として「モノ消費」の需要は根強いようだ。一方で、「温泉」が55.0%、「テーマパーク」が41.6%、「神社仏閣」が36.6%となるなど、体験に通じる「コト消費」も一定の支持を集めている。
直近1年間のアテンド経験の有無にかかわらず、日本国内をアテンドする際にどのような情報を参考にするか聞いたところ、約85%が「中国国内で利用されているSNSの情報」と回答した。2位が「日本国内で利用されているWebサイトや旅行アプリの情報」、3位が「実際に自分が行って良かった場所やお店」となっており、テレビや雑誌よりSNSやネット上の口コミを重視していることが分かった。
商品の購入および店舗来店を検討する際に参考にするメディアについて聞いたところ、どちらも90%以上が「RED」と回答し、他を圧倒した。
アライドアーキテクツの番匠達也氏(クロスバウンド事業 クロスボーダーカンパニー プレジデント)は、今回の調査を総括し、「中国インバウンド施策の成功には、SNSや決済アプリなどオープンなプラットフォームでの露出や口コミ増加を図るだけでなく、友人・知人などのクローズドなやり取りの中でどのように自社商品、自社サービスなどが推薦されるかという点も重要視する必要がある」とコメントしている。
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