コロナ前に戻った「社会貢献意識」 2024年は過去最低の値に:博報堂「生活定点1992-2024」
博報堂生活総合研究所は、1992年から2年に一度実施している長期時系列調査「生活定点」の最新回の結果を公表した。
博報堂生活総合研究所は、1992年から2年に一度実施している「生活定点」調査の最新回の結果を発表した。今回のは、コロナ禍前後の2018年から2024年における変化に着目し、コロナ禍前に戻った項目、新たに定着した項目について、主要な調査結果を紹介している。
コロナ前に戻ったこと、コロナ後も定着したこと
調査データから、コロナ禍で高まっていた「社会貢献意識」が低下していることが分かった。「社会全体のためには不便なこともガマンできる」などは、2020年に一時的に高まったものの、その後コロナ禍前の水準に戻る傾向にあり、2024年には過去最低の値となった。未曾有の状況下であったコロナ禍で、密を避けマスク着用など社会ルールを順守する意識が高まったが、状況の緩和に伴い意識も薄らいでいると考えられる。
2020年から2022年にかけて大幅に落ち込んでいたのがコロナ前の2018年と同水準に回復したのが、外出を伴う「日常のハレ消費」だ。「1年以内に出張を除く1泊以上の旅行に行った」は2022年に46.9%だったが2024年には64.4%へ、「1年以内に町内のお祭りに行った」は2022年に2.8%だったが2024年には20.9%へと上昇した。
一方で、コロナ禍において、当初は必要に迫られて始めた印象の強かった「デジタル生活」や「ひとり時間」が、その利便性や精神的な心地よさへの理解が生活者に浸透したことで、コロナ禍後も定着している。
コロナ禍を経て定着したデジタル項目を聞く中で、選択肢として挙がった「日常的に携帯電話やスマートフォンで支払いをしている」や「オンラインショップの利用」は2020年以降急増しており、2024年には過去最高となった。コロナ禍で「3密」回避の動きや接触を避けるためのキャッシュレス決済、オンラインショッピングなどの利用が広がった結果、その利便性の高さが認識されたようだ。
また、「ひとりで過ごす時間を増やしたい」は、2020年から上昇傾向で、2024年には過去最高となった。コロナ禍により家で過ごす時間が増加し、自分だけで過ごす時間の貴重さに気づいた生活者が増えたことで、「ひとり思考」の増加傾向が継続している。
「生活定点」は、生活者の意識や行動の変化を観測するため、20〜69歳の男女を対象に約1400項目にわたる多角的な質問を隔年で聴取する長期時系列調査。32年分のデータは無償で一般公開している(関連リンク参照)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.